神様のお供え物はどんな種類があるの？お供えの意味や作法を解説

家庭や会社に神棚がある場合、お供え物をする機会がありますよね。神様へお供え物をまつるのはどういった意味をもつのでしょうか？

神様の宗教である神道は日本古来の宗教。昔の日本人は天地間に存在するすべてのものや事象に神様が宿るとの考えがありました。そのため、日本では自然や自然現象を神格化した神や、八百万（やおよろず）の神などさまざまな神様がまつられてきました。

神社でまつられていた神様を自宅用として持ち込んだのが神棚のはじまりです。神棚は江戸時代中期に登場し、次第に一般家庭に広まっていったと推測されています。日本の宗教といえば新道のほかに、インド発祥の仏教が代表的です。

神道では物と心がともに整うのを最上とされているので、お供え物には重要な意味があります。神様のお供え物とは神様に献上する食事のこと。神饌（しんせん）や御饌（みけ）と呼ばれる場合もあります。

神社では定期的なお祭りやお日供として毎日お供え物を捧げるお祭りが行われています。神様に食事を差し上げておもてなしをし、そのお下がりとして参列した人がいただく行為である「新人共食（しんじんきょうしょく）」が日本の祭りの特徴です。

これにならい、家庭でも神棚にお供え物として神様のお食事がまつられています。

神様にはどんなものを供えればいいの？と疑問に思ったことはないでしょうか。ここでは神棚にまつるお供え物について詳しく紹介していきます。

お供え物の基本は米や塩、水です。これらは日供として毎日お供えをするものです。米は古くから日本人の主食として大切にされてきた作物。そのため、お供え物の中ではもっとも重要といえます。

米は生米でも炊いたご飯でも大丈夫です。炊いたご飯は食前にお供えしましょう。また、塩や水も米と同様に古代から貴重な食品とされていました。

神棚には野菜や果物、お菓子、お酒などをお供えしても大丈夫です。普段と違うものをお供え物としてまつる際は、とくに日を決めたりせず、珍しいものが手にはいったときなどその時々でお供えしましょう。 また、正月や氏神様のお祭り、家族のお祝い事があった日などの特別な日にお供え物をまつるとよいでしょう。

神社では毎月1日に月始祭や、15日に月次祭を行うことが多いため、毎月の神社の祭典日に準じて行う方法もあります。 その季節にはじめてできた野菜や果実などは、本来のごちそうの意味に通じています。そのため、たとえ少々見栄えが悪くても神様が喜ぶお供え物といえます。

夏のお供え物での野菜や果物は、常温でも傷みにくい野菜や果物を選びましょう。 ネギやニンニクなど、強いにおいのある野菜も避けます。お菓子は普段と違う珍しいものが手に入ったとき、たとえばお客様からもらったお菓子があればお供え物としてまつるのもいいでしょう。

神棚には食べもののほかに榊や神鏡をお供え物としてまつります。榊はきへんに神と記すことから、新道の宗教では欠かせない植木です。榊は榊立てに入れて一対でお供えしましょう。毎月1日と15日に新しい物と交換します。

神棚の中央には神鏡を置きましょう。神鏡は太陽を神格化した天照大神（あまてらすおおかみ）のご神体とされます。

神棚の前方にはしめ縄をつるします。正月の神棚はしめ縄のほか、門松や鏡餅など特別な飾り付けをします。大晦日を迎えるまでにしめ縄を代えて清浄を保ち、神様を招き入れる準備をしましょう。

また、お供え物にはお札もあります。お札は神棚の扉の中に立てて納めるものです。正月になると古いお札は神社に帰し、新しいお札を神社から授かり家の神棚にまつります。

お供え物は神様のお下がりとして家族で積極的にいただきましょう。神社でも神様へのお供え物は、参列者でいただくと考えられています。そのため、巫女さんからお供えしたお酒を一杯いただくこともあるでしょう。

抵抗がある方はお供えした水を植物の水やりに使用したり、玄関に塩をまいたりしても大丈夫です。

米や塩、水は神様にとって毎日の食事です。朝にまつったお供え物はその日の夕方や夜に下げ、翌朝に新しいお供え物を供えるのが理想です。しかし、神棚は高い位置にあるため、忙しい方は毎日交換するのが大変な場合もありますね。

そのような場合でも、せめて水だけは毎日交換しましょう。米と塩に関しては、1週間に2～3回、または1日と15日に交換するなどルールを決めるのがおすすめです。

お供え物は三方（さんぼう）または折敷と呼ばれる神具に載せます。折敷は懐石料理などにも使われる緑のある木製のお盆をいい、正方形や長方形の種類があります。三方は正方形の折敷に胴がついており、胴の前と左右の三方向に穴が開いた神具です。

三方や折敷にはそれぞれ綴じ目がついていますので、綴じ目を手前にして置きましょう。また、折敷と胴が別々になっている三方の場合は穴の開いていない面を御神前に向けるように置きます。

米や酒、水、塩などをお供えする容器は、神棚専用の器に盛ります。米や塩は平瓮（ひらか）と呼ばれる平らな皿の上に、水は水器（すいき）と呼ばれる丸くふたのついた器に入れます。酒に関しては瓶子（へいし）と呼ばれるとっくりのような器に入れて一対で供えましょう。

神棚専用の器はすべて白の陶製です。

三方や折敷の上には半紙を敷いてからお供え物を置きます。半紙は折り方に決まりがあるので覚えておくとよいでしょう。まずは半紙を横向きにおきます。つぎに半紙の右下の部分をもち、左上にもっていきます。

そして左上の角より手前で折り曲げると完成です。左上の角が過ぎたり、半紙の左下を右上にもっていったりすると弔辞の折り方となるので注意しましょう。

お供え物は置く順序があります。米・酒・餅・魚・海菜・野菜・果物・お菓子・塩・水の順番でお供えしましょう。神様の真正面となるのが正中です。正中に近い方を上位とし、ついで神様からみて左、右の順番でお供えします。上位のものから順番に並べていきましょう。

お供え物では米が最上位です。お供え物が奇数の場合は米が真ん中になるようにします。偶数の場合は、正中をはさみ、神様から左に米を置きます。酒は一対なので両端に置きましょう。