先祖供養って何？正しいやり方とタブーについても解説！

先祖供養はもともと仏教が始めたことです。その目的は、他の宗教で行なわれていたいけにえの魂を静めるためでした。

仏教以外の宗教では、定期的にいけにえが行なわれていました。その目的は日照りの土地で雨を降らすためだったり、疫病を抑えるためだったりとさまざまでした。これらは神様が怒っているからだと考え、その怒りを鎮めるためにいけにえが行なわれていたのです。

仏教はこのような定期的にいけにえとして捧げられる生命を供養するために、儀式を始めました。それがやがて先祖供養となり、現在も残っています。

先祖供養は、その名の通り、ご先祖様に尊敬と感謝の気持ちを伝えるための儀式です。ご先祖様がいるから今の自分がいます。

また、ご先祖様の時代は現在とは比べ物にならないほど厳しい状況でした。その苦労は現代を生きる私たちの想像を超えるものだったでしょう。その中でも生命をつないで下さったからこそ、今の自分たちがいます。

厳しい状況の中でも生き抜き、現在の私たちに生命をつないで下さってありがとうございます、という感謝の気持ち。そしてその当時の苦労をねぎらう気持ち。この二つを先祖供養という儀式に託して伝えているのです。

先祖供養には神仏への畏敬の念を示すとともに、礼拝の儀式の意味もあります。神様や仏様の存在に畏れの気持ちを、礼拝という儀式で示すためのものでもあるのです。

神様や仏様は大変慈悲深く、人間にたくさんの愛情を注いで下さっています。ですが、その愛情を当たり前のものとして考えると、神様や仏様は時として怒り、その怒りを自然現象や病気という形で示されることがあると考えました。

そこで、いつも神様や仏様のお慈悲をありがたく頂戴し、感謝していますという気持ちを定期的に示すようになりました。儀式として執り行なうことで逆鱗に触れず、穏やかでいられると考えたのです。

お寺での先祖供養は、年忌法要と呼ばれています。一般的に執り行なわれる年忌の先祖供養は、初七日、四十九日、一周忌、三十三回忌です。亡くなった日を基準にこれらの年忌法要をお寺で執り行ないます。

通常は、菩提寺に連絡をして先祖供養の日取りを決めます。ですが、最近は菩提寺を持たないという方々も増えてきています。その場合は、墓地を管理しているお寺のご住職に相談しましょう。

自宅で先祖供養をする場合は、日頃からお仏壇に手を合わせるだけで充分です。先祖供養というと、先ほどの項目で紹介したようにお寺で行なう年忌法要を思い浮かべる人が多くいます。

そもそも先祖供養の本当の意味は、ご先祖様や亡くなった方々に尊敬と感謝の気持ちを伝えることです。気持ちを伝えるためにわざわざ仰々しい儀式を執り行なう必要はありません。

大切なのは日頃から気持ちを伝えることです。お仏壇に毎日手を合わせて感謝の祈りを捧げることで、それは先祖供養になっているのです。

お仏壇がないという家が増えてきています。その場合はお墓参りに行きましょう。ご先祖様はお墓に眠っています。お墓参りに行き、お墓の前で手を合わせることが先祖供養です。

また、お墓が遠い場合やどうしてもお墓参りに行くことが難しい場合は、心の中で感謝の気持ちをつぶやきながら手を合わせましょう。朝なら起きた時、夜なら寝る前に行なうことが、先祖供養の代わりです。

先祖供養では絶対にやってはいけないことがあります。それは、自分の個人的な願い事をすることです。

先祖供養はご先祖様や神様や仏様に、尊敬と感謝の気持ちを伝える儀式です。日頃の平和や穏やかな日常を感謝することも含まれます。

ですが、個人的な願い事は尊敬や感謝の気持ちを伝えることと同等ではありません。神社仏閣に参拝に来ているのではありません。個人的な願い事はやめましょう。

先祖供養はご先祖様や神様、仏様に感謝の気持ちを伝えるための神聖な儀式です。もともとはいけにえの魂を供養するために始まったという悲しい歴史もあります。畏敬の念を持って先祖供養を行ないましょう。