棚経とはいったい何?意味や由来、棚経を行った場合の相場を解説

公開日 : 2020/2/28

更新日 : 2020/11/24

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棚経とはお盆に行う法要のことですが、意外に棚経という言葉や意味などを知らない場合も多いです。身内が亡くなった場合は棚経を行うことがほとんどです。当事者になって戸惑わなくて済むよう、棚経についてに知識や手順などについて解説します。

公開日 : 2020/2/28

更新日 : 2020/11/24

目次

そもそも棚経ってなに?

棚経という言葉を聞いたことはあるでしょうか?あまり聞き馴染みのないという方も多いかもしれません。そこで以下の見出しではそもそもとして棚経とはどのようなことを指すのかを紹介していきます!

棚経とは?

棚経とはお盆の期間に行うもので、所縁のある寺院の僧侶が一軒一軒を訪ねて精霊棚や仏壇の前で経をあげます。精霊棚とは先祖を迎え入れるために設けた祭壇のことで、御花や故人が好きだったものをお供えしておきます。この棚の前で経をあげることから、棚経と呼ばれています

 

棚経は、親族一同が集まって僧侶とともに祈祷することで、先祖に感謝や尊敬の念をささげるための法要です。菩提寺に足を運ぶこともありますが、現在は自宅の仏壇の前で経をあげてもらうのが一般的です。

棚経の由来は?

棚経が盛んになったのは江戸時代だと言われています。というのも、もともと棚経は僧侶が隠れキリシタンを見つけ出すために始まりました。隠れキリシタンは仏教徒を装っていて、仏壇や位牌の中に十字架などを隠しておくことが多かったため、僧侶が経をあげるふりをして、仏壇の中を確認していたという由来があります。

 

もちろん宗教の自由が保障されている現在ではそんな裏の意味はなく、親族が集まって先祖に祈りを捧げる機会になっています。

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棚経を行う期間は?

棚経は基本的にお盆の期間中に行います。そもそもお盆とは正式には盂蘭盆会と言い、お釈迦様の弟子だった目連が、餓鬼道に落ちた亡き母を救うために行ったのが始まりです。よってお盆は、目連の母が成仏した旧暦7月15日を中心にして、7月13日~16日の4日間を指します。

 

ただし現在は新暦が採用されているため、お盆の期間は1カ月遅れの8月13日~16日です。関東などは旧暦のお盆期間を採用する地域もありますが、おおむね全国的に新暦に則ってお盆を迎えます。

 

棚経はこの4日間に行うのが正式です。ただし、檀家が多すぎてとても4日間で僧侶が回りきれない場合は、お盆が始まる前から棚経をして回る寺院も多いです。棚経の日程は寺院によって大きく変動するため、棚経を考えている場合は早めに寺院に問い合わせるのがベターです。

棚経は断ってもよい?断り方とは?

棚経は基本的に毎年行いましょう。棚経を断ると、お盆にあの世から帰ってくる先祖をもてなすことができず、また、菩提寺などの今後の付き合いの点からも好ましくありません。ただし、キャンセルできない用事がある場合など、どうしても棚経を断らなければいけないこともあります。

 

そういう場合は、早い時期に寺に断りをいれておきましょう。お盆の時期はどこの寺も多忙なため、直前に断りをいれると迷惑をかけてしまいます。丁重な言葉を使うように心がけ、「今年は」などの文言を入れておくのがベターです。

 

断り方として一番僧侶の迷惑になるのは、悪印象を与えてしまうと考えてギリギリまで断らず、直前になって断ることです。僧侶も断られること自体に悪印象を持っていない可能性もありますので、棚経をしないと決めた時点ですぐに連絡をしましょう。

棚経の行い方

新盆の場合などは、どのように棚経を行えばいいのか分からない場合もあるでしょう。棚経を行う時の方法やマナーについて解説していきます。

事前に依頼をしておく

棚経に来てほしい場合は、早い時期に寺に依頼をしておきましょう。前述のとおり、お盆中やお盆前の寺はどこも多忙です。突然依頼をするとスケジュールの調整がつかない場合もあります。

 

棚経の依頼が必要なのは新盆のときで、一度依頼をすると次年からはお盆前に寺のほうから棚経の日程についての知らせが届く場合が多いです。ただし寺によってまちまちですので、不安な場合は最初の依頼のときにでも質問しておくとよいでしょう。

 

棚経を依頼するのは基本的に菩提寺ですが、遠方すぎる場合などは、自宅近くの所縁のある寺に依頼をします。菩提寺から紹介される場合もあります。新盆はとくに欠かしてはいけない行事と言われているので、早めに菩提寺に問い合わせるなどして、棚経の依頼をしておきましょう。

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基本的に親族で行う

棚経は基本的に親族のみで行うものです。ただし新盆はとくに手厚く行うため、故人の知人や友人などを招いて盛大に執り行うのが一般的です。参列してほしい人へは、お寺への依頼と同様に、早い時期に日程などの知らせを出しておきましょう。

 

棚経は僧侶が家の仏壇や精霊棚を訪れて行いますが、菩提寺で大掛かりな法要がある場合は、遺族などが寺におもむいて法要に参列する場合もあります。棚経の執り行い方は寺によって異なるので、作法などについては、棚経を依頼したい寺に問い合わせるのがいいでしょう。

棚経の服装とは?礼服を着るべき?

棚経は身内だけで行うものですので、基本的には普段着でいいと言われています。ただし男女とも過剰な肌の露出や華美な服装は避け、落ち着いた色味の服装でまとめましょう。故人の知人や友人を大勢招く場合は、スーツや礼服の着用が望ましいです。

 

新盆も同じく故人の知人などが参加しますので、喪服や礼服の着用がベターです。男性なら黒いスーツに黒いネクタイ、女性ならワンピースなど、子供は学生なら制服か、制服がない場合は白いシャツと黒のパンツなどを着用します。

棚経が終わったら

棚経が終わったら、参列した親族や客に食事を振舞うという家庭が多いです。これには集まってくれたことへの労いとともに、帰ってきた先祖の魂と食事を供にするという意味が込められています。食事には、棚経に来てくれた僧侶を招く場合もあります。

 

振舞う料理について、とくに決まりはありませんが、質素な料理や精進料理などを出すのが一般的です。これは、先祖の霊に感謝する期間は殺生は行わないという仏教的な考えから来ています。しかし、せっかく親戚一同が集まったのだからと豪勢な宴会を行うのも、もちろん構いません。

僧侶の迎え方

棚経を依頼したものの、どのように僧侶を迎えたらいいのか分からない場合もあります。棚経を執り行う際の、僧侶への対応について解説していきます。

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お布施を準備しておく

棚経に来てくれた僧侶には、御礼としてお金を支払います。金額は志と言われていますが、相場は5000円~2万円です。僧侶の前で、レジでの会計のように財布からお札を取り出して支払うのは大変失礼にあたりますので、お金は前もって包んでおきましょう。

お布施の表書き・包み方・渡し方

お金は白の無地の封筒で包み、筆記具は普通の墨色の筆ペンなどを利用します。表書きは「御布施」または「お布施」、もしくは空白にしておきます。名前は施主のフルネームを表書きの下か裏面に記載し、さらに裏面に住所や電話番号を書いておくのとベストです。金額を書く場合は裏面に漢数字で書き入れます。

 

お布施は棚経が終わった後に渡します。むき出しで渡すのではなく、小さなお盆や袱紗の上に置いて差出しましょう。その際は、わざわざ足を運んでくれた僧侶への感謝を伝えるのがマナーです。

御車代・御膳料も必要

自宅を訪れてくれた僧侶には、交通費として、お布施とは別に御車代を包む場合が多いです。また、棚経後は僧侶への感謝を込めて食事を振舞いますが、辞退された場合は代わりに御膳料を包みます。御車代と御膳料の相場はそれぞれ5000円~1万円、5000円~2万円でです。

 

お布施と同様に白い無地の封筒にお金を包み、表書きはそれぞれ「御車代」「御膳料」とするか、空白にしておきます。施主の名前や住所などはお布施と同様にします。御車代と御膳料はお布施に含める場合もあり、それぞれの家庭の判断にゆだねられています。

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手厚いおもてなしを

僧侶は多忙な中、棚経に駆けつけてくれるので、決して粗末に扱わずに敬意をもっておもてなししましょう。お盆と言えば真夏の盛りですので、扇風機やクーラーなどをつけたり、お布施を渡すときに冷たいおしぼりやお茶などを一緒に差し出したり、細やかな心配りを心がけましょう。

棚経は宗派によって異なる

棚経の執り行い方は、宗派や地域によって異なります。たとえば浄土真宗では基本的にお盆の行事は行わないとされています。以下では曹洞宗や浄土真宗、真言宗のお盆について簡単に紹介していきます。

曹洞宗のお盆

曹洞宗の一部の地域では精霊送りという行事が行われます。精霊送りは、長崎で精霊流しと呼ばれており、精霊流しとして知っている方は多いのではないでしょうか。精霊送りとはお盆の最終日に霊をあの世に送り出すための行事のことを指します。

 

昔は小さな船を作り、その船を海や川に送り出していました。しかし現在では海や川の汚染問題もありお寺で引き取ることが多くなっています。実は、有名な奈良の大文字送り火も精霊送りのひとつだとされています。

 

また、そのほかにも食事に特徴があります。曹洞宗の食事はお盆に帰ってくる故人の人数分を用意します。そのため、曹洞宗のお盆にはたくさんの食事がお供えされます。

浄土真宗のお盆

浄土真宗のお盆の特徴として、一般的にお盆に行う迎え火・送り火、精霊棚などを行いません。その理由として浄土真宗の考えでは、先祖は極楽浄土に往生し、お盆に帰ってこないとされています。そのため迎え火などの先祖を迎え入れることはしません。

 

しかし、お盆の時期に何もしないというわけではありません。浄土真宗のお盆には歓喜会と呼ばれるお寺に行ったり、自宅に僧侶を招いたりして仏法を聞く日などがあります。

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真言宗のお盆

真言宗のお盆に対する考え方として追善供養というものがあります。真言宗では故人は大日如来がいるとされる世界に行きます。遺族はお祈りをして善行を積み重ね、そのこと自体が故人の供養になるという考え方です。つまり、自分自身を見つめ直してお祈りをすることが供養だと考えられています。

 

また、盆飾りの特徴として水の子と閼伽水があります。水の子とはナスやキュウリなどの野菜とお米をたくさん用意したものを指します。閼伽水とは穢れを払うための綺麗なお水のことを指します。これらの盆飾りが他の宗派と違う点になります。

棚経は故人を偲ぶ儀式

お盆に行う棚経とは、年に一度、親族が集まって先祖や故人に思いを馳せる行事です。先祖の魂をおもてなしする心を忘れず、懇ろに行うとよいでしょう。