法事での服装のマナーは?喪服と平服について徹底解説します!
公開日 : 2020/2/14
更新日 : 2020/9/10
故人を偲ぶ大切な儀式である法事。出席する際には、どのような服装で出席すればよいのでしょうか。法事にはそれぞれ意味があり、法事の種類や参列する立場などによっても服装のマナーが異なります。そこで今回の記事では、法事の時に着る服装のマナーについてご紹介します。
公開日 : 2020/2/14
更新日 : 2020/9/10
目次
法事の意味と服装について
法事とは、亡くなった方の冥福を祈って供養する仏教の儀式のことです。遺族は故人が極楽浄土で往生できるよう感謝の気持ちを込めて「追善供養」を行います。四十九日までは7日ごとに行い、それ以降は百箇日、翌年は一周忌と続いていき、一般的に三十三回忌で弔い上げといわれ終了になります。
そして故人の供養をするときは、礼節に沿った正しい服装で臨むことが大切です。法事は厳粛な儀式であることから、落ち着いた暗めの色のきちんとした服装で参列するのがマナーです。今回は身につけておきたい、法事の服装についてのマナーを解説していきます。
四十九日の法事の服装
亡くなられた方がいよいよ極楽浄土の仏様のところへ旅立つと言われるのが四十九日です。そしてこの四十九日をもって遺族が忌明けとし、普段の生活に戻る日でもあります。
お世話になった親族や故人の友人、仕事関係の方などをお招きし、お寺や自宅において僧侶にお経を上げてもらい会食するのが一般的です。
そして四十九日の法事では、喪主や親族は喪服を着用します。出席者についても葬儀と同様に喪服を着用するのが好ましいとされています。しかし案内状に「平服で」などの指定があった場合には、喪服以外のダークな色合いの服装で参列します。
百箇日の法事の服装
百箇日とは、死後100日目に行う法事のことです。卒哭忌(そっこくき)とも呼ばれ、故人が亡くなってから3か月以上経つので、泣いて悲しんでいるのを卒業するという意味を持っています。
百箇日法要は四十九日後すぐ行われる追悼法要ということもあり、近年では省略する場合も多く、行うにしても遺族や親族のみで自宅の仏壇で供養するのが一般的です。服装は四十九日と同様に喪服が好ましいですが、近親者のみで行う場合は平服でもよいでしょう。
一回忌~三回忌までの法事の服装
一回忌とは故人が亡くなってから満1年、三回忌とはその翌年の満2年の命日に行う法要のことです。三回忌までの法要は四十九日に次いで重要な法要なので、遺族や親族の他に親しかった友人などを招き、お寺や自宅で僧侶にお経を上げてもらい会食をするのが一般的です。
そういったことから、三回忌までは喪服を着用するのが一般的です。これは家族や身内だけで法事を執り行う場合であっても同じです。ただし「平服でお越しください」との記載があった場合は案内に従ってください。
七回忌~三十三回忌までの法事の服装
命日から節目になる年ごとに遺族や親族のみで法要を行うようになるのが一般的です。七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三忌、二十七回忌と続き、最後の年忌法要として三十三回忌で弔い上げになり終了です。
そして回を重ねるごとに規模も縮小していくため服装も、喪服から簡略化され平服でよいとされるのが一般的です。
「喪服」で法事に出席するときのマナーについて
ここからは喪服で法事に出席する際に気を付けたいマナーについて解説していきます。
喪服の種類
喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類がありますので、順に詳しく見ていきましょう。
正喪服
最も格式が高い喪服です。葬儀から一周忌までの法要で、喪主や3親等までの親族などが着用するのが一般的です。ただし最近では、和装やモーニングを持っている人は少なくなってきていることや葬儀の簡略化も進んだことから、正喪服を着用する人は少なくなってきています。
女性の場合は、和装であることも多く、黒紋付に黒の無地の帯をします。最近では、喪主や親族など法事に招く立場の方も、準喪服を着ることが多くなっています。
準喪服
最も一般的な「喪服」とは準喪服のことです。そして四十九日や1回忌から3回忌までの法事に参加する方の全員が準喪服を着用するのが一般的です。
男性は一般的に用いられるブラックスーツです。女性場合は、和装では無地紋付の染め抜き三つ紋または一つ紋、洋装では黒無地のワンピースやスーツが基本です。
略喪服
準喪服より格が下がる略礼服とは「平服」のことを指します。仮通夜や七回忌以降に着用するのが一般的であり、「平服でお越しください」との案内がある場合は、略喪服を着用しましょう。
濃紺やグレーなどのダークカラーであれば、ブラックでなくてもかまいません。また、無地でなくても控えめなチェック柄やストライプなどもマナー違反にはあたりません。
喪服の着こなし(男女別)
上記でご紹介したように、法事にはいくつか種類があり服装のマナーが異なります。ここからは実際に法事の喪服ではどのような服装が望ましいのか男女別に見ていきましょう。
男性の場合
一般的には、葬儀と同じように喪服(準喪服)を着用するのが望ましいです。スーツは、ブラックスーツで光沢素材でないものを選び、パンツの裾はシングルタイプのものを着用しましょう。シャツは無地の白シャツで、カジュアルなボタンダウンのシャツは避け、レギュラーカラーの襟が良いです。
そしてネクタイは、黒の無地タイプでお悔やみの場でのマナーとしてくぼみは作らないようにします。ベルトも、無地の黒です。靴は紐付きのタイプの革靴の黒で、スエードやエナメルなどカジュアルな印象は避けましょう。
また靴下も無地の黒を選び、柄モノや白い靴下は避けるのが適切です。また、男性は荷物をポケットに入れてバッグは持たずに手ぶらが一般的です。バッグを持つ場合は、黒で金具などの装飾のないシンプルなデザインのものを選びましょう。
法事のスーツとビジネススーツとの違いは?
法事に参加する際に注意したいのが、黒でもビジネスシーンで着用している黒との違いです。法事のスーツである喪服は、光沢や艶のない漆黒色となります。ですから法事の場では一般的なブラックスーツはNGとなります。
そして法事のスーツは、黒が強いほど高級感があり違いがはっきりとでます。法事に参加する際に、着用するスーツの印象で常識の無い人と見られないためにも、ビジネス用とは別で1着持っておくのがおすすめです。
女性の場合
女性の場合もブラックフォーマルが好ましいとされており、ワンピースやアンサンブル、パンツのスタイルが基本です。トップスの袖丈は長袖から5分袖、スカート丈は膝からふくらはぎ丈が上品に見えて適しています。
アクセサリーに関しては、ネックレスやイヤリングは真珠が定番です。ただし連が重なるものは「不幸が重なる」とされるため控えましょう。ストッキングは、黒の薄手のストッキングが正式なマナーで、30デニール以下が基本になります。厚手のタイツや華美なものはNGです。
また靴はシンプルな黒のパンプスを選び、高いヒールのものやエナメル素材、素足の見えるミュールやサンダルは避けましょう。そしてバッグは黒の布製で光沢のないシンプルなものが好ましいです。数珠や袱紗が入る大きさが望ましく、荷物の多い場合は、黒のサブバックを持つのがおすすめです。
化粧や髪型、ネイルはどうする?
法事の服装のマナーには化粧や髪型にも注意すべき点があります。まずメイクはナチュラルメイクを心がけます。ただし素顔のままでは失礼に当たりますので、メイクはするようにしましょう。口紅は薄いピンクやベージュなどで、ラメやパールが入っていないものにします。
髪はくくることができる長さがあるのであれば、まとめる方がよいでしょう。お辞儀のときなどにばさっと髪が落ちてくるのは好ましくありません。肩につかないくらいの長さであれば、ダウンスタイルでもかまいません。
ネイルに関しては、オフしていくのが望ましいでしょう。急なお葬式と異なり法事は予め日にちが決まっていますから、オフするのが無難です。そして香水は基本的には避けましょう。ワックスやスプレーなどの整髪剤についても、無香料または微香性のものがベターです。
法事の服装の格式における注意点
法事の服装には「格式」があることはご存知でしょうか。ここからは法事の服装の格式についての注意点を解説していきます。
参列者は格下を着るのがマナー
気をつけたいのが法事での格式についてのマナーです。お通夜や葬儀、四十九日当たりまでは、喪主や遺族も正喪服を着用する事が多いものの、故人が亡くなってから月日が経つと、いつまでも正喪服で参列することはなくなります。
そのため、案内をもらった遺族以外の参列者は、喪主や遺族の服装よりも「格下」を着るように配慮するのがマナーです。
施主や遺族が正喪服を着ているのならば、略喪服であるブラックスーツでも問題はないのですが、略礼服よりも格下となる「平服」を施主や遺族が着用しているのに、弔問客がブラックスーツを着ていると、それはマナー違反となってしまいます。
法事の服装は案内ハガキを参考に
施主や遺族がどの段階で平服になるのかははっきりと決まっていないのが悩みどころです。そんな時に参考になるのが、法事の案内のハガキとなります。
法事へ案内されたら、一般的には四十九日までは参列者も略礼服となるブラックスーツで、一周忌や三回忌となった頃には平服を目安に準備するのがマナー違反のないところです。
ただし施主や遺族もその判断が難しいことは理解しているため、ほとんどのケースで法事の案内ハガキで服装を伝えています。案内はがきに平服でとの案内があればそれに従うようにするのがよいでしょう。
「平服」で法事に出席するときのマナーについて
ここからは平服で法事に出席する際に気を付けたいマナーについて解説していきます。
平服とは普段着ではない
三回忌を過ぎると案内状に「平服でお越しください」と指定されることが多くなります。基本的に法事での「平服」は、普段着ではなく喪服ではないがマナーのある服装と認識しておくと良いでしょう。喪服を着なくてもよいけれど、その場に応じたきちんとした服装で参列することが大切です。
平服の着こなし
それでは実際に、平服で出席する際にどのような服装が適しているのか見ていきましょう。
男性の場合
男性の場合は黒・紺・グレーなど地味な色のダークスーツがおすすめです。柄はできれば無地がいいですが、織柄や薄っすらとしたストライプまでなら問題ないでしょう。ワイシャツは白無地のレギュラーカラーで色柄物は避けましょう。
そしてネクタイも黒を選ぶのが無難です。スーツと同様に地味な色や柄であれば問題ありません。結ぶ際は、お悔やみの場でのマナーとしてくぼみを作らないことが大切です。ベルトは黒無地でシンプルなデザインのものを選び、大きく目立つバックルなどのデザインは避けます。
靴は黒の革靴で、原則は紐で結ぶタイプのものでないといけません。エナメルやスエード素材は避け、金具なしのシンプルなものにしましょう。
女性の場合
女性の場合の平服は黒・紺・グレーなど地味な色のワンピースやセットアップスーツ、アンサンブルがおすすめです。露出の高いデザインは避け、スカート丈は膝からふくらはぎ丈が上品に見えて最適でしょう。
また小さいお子様がいる方や料理の配膳などで動き回る場合は、パンツスタイルでもOKです。その際に中に着るトップスもダークカラーで統一するようにしましょう。白など明るい色は避けるべきです。
平服の場合もストッキングは黒の薄手の30デニール以下が基本になります。ベージュや、厚手のタイツなどは控えるのが無難。靴はシンプルな黒のパンプスで、布または革の素材が好ましいでしょう。高いヒールやエナメル素材、ミュールやサンダルはNGです。
子どもの場合
子どもの場合は、三回忌以降は制服の着用が無難です。学校によっては、制服の色が明るかったり、パンツやスカートがチェック柄だったり、黒以外の場合もありますが、学生服が正装とされているので問題ありません。
また制服がない場合は、紺やグレーなどの控えめな色の服装を選びましょう。男の子なら控えめな色のブレザーとズボンに、白シャツがおすすめです。女の子なら控えめな色のブレザーとスカートに、白シャツやワンピースが良いでしょう。
キャラクターなどの絵柄が入っているものは避けましょう。靴は黒いものがなければ、白や紺などのスニーカーなどでも問題ありません。
赤ちゃんの場合
赤ちゃんの場合は、黒や紺、グレーなどのダークカラーやまたは白が望ましいですが、ベビー服で黒はあまり取り扱いがありません。ですから薄いベージュなど控えめな色であれば、マナーとしては問題ないとされています。
ただし注意すべきは、泣き出したら席を外しやすいところに座ることです。また親族以外の場合は、法事には赤ちゃんは連れていかないようにしましょう。
家族だけの法事での服装はカジュアルでもよい?
故人が亡くなって年月が経つにつれ、家族だけで法事を行うようになります。身近な人たちだけの法事だから普段着でもよいと思うかもしれませんが、やはりきちんとした身なりで故人の冥福を祈るのがマナーです。
家族だけとはいえ、ジーンズやTシャツ、派手な色柄の服、キラキラ光るアクセサリーなどは避けるようにしましょう。自宅で行う法事の場合は、あまりかしこまりすぎる必要もありませんが、きちんとした印象の服装を心がけることが大切です。
失礼のない服装で法事に参列しよう!
法事の服装について詳しく解説してきましたがいかがでしたか?法事の服装については失礼のないようにお覚えておきたいマナーがあります。ご先祖様を敬う気持ちが伝わるような、礼儀正しいマナーを守った服装で法事に参列しましょう。
ご相談・お問い合わせください