オンライン葬儀とは?流れや遺族・参列者のメリットなどについて解説
公開日 : 2020/5/23
更新日 : 2020/9/10
いま、新しい葬儀の形として注目されているのがオンライン葬儀です。従来までは、葬儀に参列するには実際に葬儀会場を訪れる必要がありましたが、オンライン葬儀ならどこにいても式に参加することができます。オンライン葬儀の基本的な流れや登場した背景などについて解説します。
公開日 : 2020/5/23
更新日 : 2020/9/10
目次
オンライン葬儀とは?
オンライン葬儀とは、葬儀会場へ実際に足を運ぶことなく、パソコンやスマートフォン等を利用してweb上で参加できる葬儀を指します。オンライン葬儀は、新時代の葬儀のあり方として、今注目されつつあります。
オンライン葬儀は2020年時点ではまだ知名度が低く、件数もごく限られていますが、その利便性の高さから今後は一般にも広まることが予想されます。これからの選択肢の一つとして、オンライン葬儀についてぜひ知っておきましょう。
オンライン葬儀の流れ
オンライン葬儀はどのようにして行われるものなのでしょうか。オンライン葬儀を手がける葬儀会社によって多少の違いはありますが、一般的な流れを見ていきましょう。
訃報もオンラインで
訃報や葬儀詳細の案内等は、故人の親戚や友人・知人らにメールやSNS等で送信されます。葬儀への参列を希望すると、オンライン葬儀を閲覧するためのURLが送られてきます。開始日時になったらクリックすると、配信を閲覧できるようになります。
葬儀の模様をライブ配信
著名人の葬儀の場合は、葬儀の模様を一般公開するケースもあります。ただ、一般の方の場合は知人、親族等の参列者に限定して公開されるのが一般的です。
実際に会場にいるのは、喪主をはじめとする少数の身内や葬儀会社のスタッフ等のみ。会場にビデオカメラやマイクを設置して葬儀の模様を撮影し、動画でライブ配信するのが一般的な形です。祭壇に遺影や遺品、供花などが飾られるのは一般的な葬儀と変わりません。
お香典はクレジットカード決済
オンライン葬儀はまだ歴史が浅く、マナーが確立していない面がありますが、香典の習わしや金額はリアルの葬儀と変わらないと考えてください。オンライン葬儀の場合、クレジットカード決済で香典を届けられるサービスを提供している葬儀会社もあります。
精進落としもオンラインで
葬儀後にふるまわれる料理「精進落とし」も、オンライン葬儀では一堂に会していただくことはありません。各自が飲み物や食べ物を用意し、web会議システムなどを利用して行います。
精進落としの際に故人の思い出話などをして偲ぶのは、オンラインでもオフラインでも変わりません。
オンライン葬儀が登場した背景とは?
かつて日本の村落で制裁として行われていた共同絶縁「村八分」が、家事と葬儀だけは絶縁の対象外としていたように、古来より葬儀は特別な意義を持つものであり、葬儀に故人にゆかりの人々が一堂に会するのが当たり前のことでした。
なぜオンラインという形での葬儀が登場したのか、以下のような理由が考えられます。
感染症のリスクを避けるため
2020年、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、日本でも各地で感染が広がりました。感染拡大を防止するために、大勢の人が密閉した空間に集まることが避けられるようになり、従来のような葬儀を行えないケースが発生しました。
参列者が一堂に会することのないオンライン葬儀なら、感染症などのリスクなく故人を偲ぶことができます。
見送る側の高齢化
高齢化が進んだ日本では、故人の親戚や知人等の参列者側も高齢の方が多いことがめずらしくありません。入院中もしくは介護施設に入居していたり、持病があったりなどで葬儀に参列することが難しい場合でも、オンライン葬儀なら身体的な負担なく参加できます。
オンラインへの抵抗感の低下
オンラインでのコミュニケーションツールの発達により、従来までは対面が当然とされてきたことがオンラインでなされることが増えてきました。
リモートワークをはじめ、オンライン診療やオンライン面接、オンライン授業などが普及し始め、一般の人々に受け入れられるようになってきたことにより、ある意味聖域だった葬儀もオンライン化への抵抗感が薄れてきているといえるでしょう。
都市への人口集中
都市部への一極集中が進んだことにより、都市部での葬儀件数が増加しています。交通事情などにより都市部での葬儀に遠方から参加するのが難しい場合、オンライン葬儀は一つの選択肢となるでしょう。
葬儀の簡素化
従来は百人規模の参列者が集う大規模な葬儀がめずらしくありませんでしたが、経済的事情や高齢化、地域との関係性の希薄化などにより、形式にとらわれない葬儀を希望する方が増えています。
火葬のみの直葬や家族葬など簡素な葬儀が広まってきたことも、オンライン葬儀が一般に受け入れられるようになってきた背景の一つと言えるでしょう。
オンライン葬儀のメリットとは?
オンライン葬儀はまだ発展途上の段階にあります。今後、技術の発達やサービスの発信側・受け手側双方の創意工夫により、オンラインならではの強みを生かしたサービスが続々と生まれ、新しい形の葬儀を作り上げていくと考えられます。
ここでは、現時点でのオンライン葬儀のメリットを見ていきましょう。
遺族側のメリット(1)故人らしい葬儀を実現できる
オンライン葬儀なら故人の好きだった音楽や映像を流すことなども可能です。その人らしい葬儀をリアルと同等またはそれ以上に実現できるのはオンライン葬儀の大きなメリットです。
遺族側のメリット(2)香典返しもオンラインでできる
オンライン葬儀なら、参列者の氏名等のデータを一括で管理できます。オンライン葬儀を手がける葬儀会社によっては、香典返しの発注をそのままweb上で行えるところがあります。
参列者側のメリット(1)遠方にいても参加可能
海外在住者や体調等に不安のある高齢者など、今までは葬儀に参列することが難しかった人でもインターネット環境さえ整っていれば、国内外どこにいても葬儀に参列することができます。
参列者側のメリット(2)追悼の想いを主催者・参列者と共有できる
オンライン葬儀では、参列者はweb上で故人への想いをコメントしたり、お悔やみのメッセージを送ったりすることができます。
リアルの場ではなかなか口に出せないことでも、web上なら言えることもあるでしょう。場に集う人同士で想いを共有できることはオンライン葬儀の大きな魅力です。
オンライン葬儀の今後の課題
葬儀は故人を偲ぶと共に、故人の死を改めて実感することにより気持ちに区切りをつけるという意味合いがあります。葬儀が行われないと、最期のお別れをすることもできず、心残りになることも。
オンライン葬儀なら、何らかの事情によってリアルの葬儀を行えない場合でも、故人をきちんと見送ることができます。オンライン葬儀は今後いっそう増えていくことが予想されますが、普及にはいくつかの課題があります。
オンライン葬儀への偏見の払拭
地域や人によって様々な死生観がある中、実際に人が集まってこそ葬儀の正しいあり方と考える人もいます。手軽なオンライン葬儀などまっとうな葬儀とはいえないという偏見もまだまだ根強く残っています。
オンライン葬儀が普及するには、オンラインといえども決して故人を敬う気持ちが薄いわけではないことを広く周知していく必要があるでしょう。
参列者側のオンライン対応
オンライン葬儀に参加するには、参列者側のデジタル機器やインターネット環境等が整っており、機器の操作にある程度慣れていることが大前提となります。
オンライン葬儀は本来、体調などで葬儀に参加しづらい高齢者にとって恩恵があるはずなのですが、デジタル機器を日常的に使用することがないという高齢者も少なくありません。心理的な抵抗のみならず、オンライン環境の整備も今後の課題といえるでしょう。
大切なのは葬儀の形式よりも「心」
オンライン葬儀は確かに、最先端の技術を生かした新しい形の葬儀です。しかし、故人を偲ぶ気持ちはオンラインでもオフラインでも変わりはありません。オンライン・オフラインにとらわれず、故人を想う「心」を大切にしていきたいですね。
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