お墓にお供えする葉っぱとは?葉っぱの種類は意味などについても解説

公開日 : 2020/7/16

更新日 : 2020/9/10

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お墓にはお花ではなく、葉をお供えすることもあります。お墓にお供えする葉は種類が決まっており、それぞれに意味があります。そこで、お墓にお供えする葉の種類はもちろん、それぞれをお供えするようになった由来や意味についても詳しく解説します。

公開日 : 2020/7/16

更新日 : 2020/9/10

目次

お墓にお供えする葉の種類

お墓にお供えするのは供花だけではありません。お墓参りをしたことがある人は、もしかしたら見たことがあるかもしれませんが、供花ではなく、葉がお供えされていることもあります。 お墓にお供えする葉は種類が決まっています。どんな葉をお供えしても良いというわけではないのです。そこで、まずはお墓にお供えする葉の種類についてご紹介します。

樒(しきみ)

樒はマツブサ科シキミ属の常緑樹です。あまり大きく成長する木ではなく、多くの樒は3~5mほどです。葉が黄色や赤に変わることはなく、一年中緑色をしています。

 

樒は実をつけます。実の形は中華料理などで良く用いられる八角に大変似ています。そのため、樒の実を八角と間違えて食べてしまうことがあります。ですが、樒の実は有毒性があるため、大変危険です。

 

樒の実の毒性は大変強く、食用として誤って食べてしまったことで死亡してしまう事故が多発しました。その結果、樒の実は植物では唯一、毒物及び劇物取締法によって「劇物」に指定されています。

榊(さかき)

榊はモッコク科サカキ属の常緑樹です。榊のほとんどは大きく成長しても5mほどで、あまり大きく成長する木ではありません。ですが、環境の条件が榊に適していれば12mくらいにまで成長することもあります。

 

榊の葉には厚みがあり、綺麗な楕円形をしています。裏表共に毛は生えていないため、つるつるとした肌触りがあるのが特徴です。

 

6月頃には小さな白い花を咲かせます。見た目はボケの花に似ていますが、ボケの花よりもさらに小さいという特徴があります。また、11月には黒い実をつけます。

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柴(しば)

柴は、山や野に生えている小さな木のことです。「柴(しば)」という名前の植物はありません。学術名や分類も存在せず、「たくさんの小さな木」の総称です。

 

柴がたくさんの小さな木の総称だからと言って、どんな小さな木でもお墓にお供えして良いというわけではありません。お墓にお供えする柴はある程度種類が決まっています。

 

お墓にお供えする柴の一例では、「ハナシバ」や「ヒサカキ」、「ヒシャシャギ」などが挙げられます。これらはすべて柴の別名でもあります。

 

ただし、一番最初にご紹介した樒には「ハナシバ」という別名があります。具体的に柴と樒にはどのような明確な違いがあるのかは、はっきりしていません。

お墓にお供えする葉の意味(樒編)

お墓にお供えする葉には具体的に3種類あるのがわかりました。ですが、それぞれの葉にはお墓にお供えする意味があります。 そこで、まずお墓にお供えする葉の中でも樒に焦点を当てて解説します。どのような意味があるのか詳しく見ていきますので、参考にしてください。

動物除け

樒をお墓にお供えするようになったのには、昔の埋葬の仕方に深く関係していると言われています。現在は火葬がメインですが、昔は火葬だけではなく、土葬も行なわれていました。

 

亡くなった遺体を土葬する場所として多く選ばれたのが、山の中や人里から離れた場所です。大きな家柄によっては自分の家の裏に遺体を土葬することもありました。

 

遺体を土葬すればその人は土に還ります。土に還るということは自然に帰るということなり、回りまわって再びこの世に生まれ落ちてくると信じられていたのです。そのため、火葬よりも土葬の方が多かった時期もありました。

 

遺体を土葬すると、山に住む野生動物が集まってくるというデメリットがありました。遺族にとっては大切な家族の遺体ですが、野生動物にとっては餌だったからです。そのため、野生の肉食動物に墓を荒らされるということも多発していました。

 

このような野生の肉食動物の墓荒らしを退けるために植えられたのが樒です。樒には強い毒性があります。野生動物は樒に強い毒性があることを知っているため、お墓の周りに樒があると近寄ってこないのです。

 

墓荒らし除けとして樒を植えたという習慣が、現在も樒をお墓にお供えするという風習として残っていると言われています。

虫よけ

樒には虫よけの効果もあります。樒に含まれるサフロールという成分が、虫を寄せ付けなくするのです。

 

土葬の習慣がまだ根付いていた頃、お墓の周りには野生の肉食動物だけではなく、虫もたくさん集まってきました。病気を媒介するハエなどが多く集まってきたのです。

 

ハエなどのいわゆる害虫が集まってくると、病気の蔓延の原因になります。そのようなことから生きている人たちを守るために、樒が植えられたという説もあります。

 

現在もお墓に樒をお供えしておくと、虫が寄ってこないというメリットがあります。虫が寄って来なくなれば、お墓やその周りも汚れにくくなります。長く綺麗に保つことができるので、今も樒がお供えされているのです。

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悪霊除け

お墓参りの際、樒をお供えしたことがある人はわかるかもしれません。樒には大変強い香りがあります。この強い香りは悪いものを寄せ付けなくする効果があると考えられていました。

 

現在、亡くなったご遺体はドライアイスを入れて保存します。冷やすことで腐敗を遅らせることができるからです。腐敗を遅らせることができれば、遺体から死臭が放たれることはありません。

 

ですが、昔はドライアイスのようなものはありませんでした。そのため、亡くなった遺体は今よりも早く腐敗が進み、死臭を放つようになります。遺体から放たれる死臭は、悪霊を呼ぶ原因と考えられていました。

 

遺体から放たれる死臭を消し去るには、それ以上の強い香りが必要です。そこで用いられたのが樒です。樒の強い香りは死臭も消し去るとされていたのです。死臭を消し去ることができれば、悪霊も寄ってきません。

 

強い香りを放って悪霊を寄せ付けないようにする樒は、そのものにも悪霊を寄せ付けなくする力があると考えられるようになりました。その名残で、現在も悪霊除けとしてお墓にお供えされていると言われています。

お香の代わり

樒には強い香りがあることは先ほど説明しました。お墓にお供えする強い香りのものと言えば、お香です。樒は香りが強いことから、お香の代わりとしてお供えされていたとも言われています。

 

現在、お線香は割と安い金額で手に入れることができます。技術の発達により、工場などで大量生産できるようになったため、お線香の金額の安くなったのです。

 

ですが、昔はお香はすべて手作業で作られていました。手作業で作るということは、それだけ手間と時間がかかります。すると、必然的にお香の金額は高くなります。とても庶民が買えるような金額ではなかったのです。

 

また、樒は昔からお香の原材料としても用いられていました。ただ、お香にしてしまうと高くなるため、原材料である樒をそのままお墓にお供えしたと言われています。

お墓にお供えする葉の意味(榊編)

お墓にお供えする葉では、榊も大変有名です。榊はどうしてお墓にお供えされるようになったのでしょうか?そこには古くから伝わる伝説が関係していました。 次はお墓にお供えする葉の中でも、榊に焦点を当てて解説します。

古事記に書かれていたから

古事記の中には、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、天野岩屋戸(あまのいわやと)に閉じこもってしまったというお話が記されています。天照大御神は太陽そのものです。その神様が閉じこもってしまったことで、日本は暗闇に包まれてしまいました。

 

太陽の恩恵を受けることができなくなった人たちは、天照大御神が閉じこもってしまった天野岩屋戸の前に、たくさんの勾玉や鏡などのお供え物をしました。この中に榊もお供えしたと書かれています

 

すると、天照大御神は天野岩屋戸から顔を出しました。無事、天照大御神が出てきたことで日本に太陽の光が戻ったのでした。

 

この伝説の中に登場する榊から、神様に捧げる供物として榊がお供えされるようになりました。お墓にお供えすることで、亡くなった人の魂が安らかに眠ることができるようにお守りください、という願いも込められているのです。

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日本書紀に書かれていたから

日本書紀は、古事記から更に8年後の720年に書かれた日本の歴史書です。日本で一番最初に完成した歴史書でもあります。

 

日本書紀には当時の生活スタイルや文化だけでなく、宗教活動などについても詳しく書かれています。当然、当時執り行なわれていた神事についても書かれており、その中に榊が登場します。

 

720年と言えば奈良時代です。奈良時代には頻繁にさまざまな神事が執り行なわれていました。その時、必ず用いられていたのが鏡と剣と玉と、そして榊でした。榊は他のお供え物と同じように、神様に捧げる貢物とされていたのです。

 

古くから榊を神様にお供えするという習慣があったことから、その習慣は末永く引き継がれることになりました。亡くなった人の魂は神様に近づくと考えられているため、お墓にも榊をお供えするようになったのです。

先端が尖っているから

榊の葉は先が鋭く尖っています。榊の葉の形状によっては、指や手のひらに先が刺さるくらい鋭く尖っているものもあります。

 

日本では昔から、先が鋭く尖っているものには神様が宿ると考えられていました。鋭く尖った先に神様の力が集中し、強い効果を与えることができるとされていたのです。

 

榊の葉はとても鋭く尖っていますから、神様の力が尖った葉先に集約しやすいと考えました。榊をお供えすることで、神様からのご加護があると考えたのです。

 

お墓にお供えする榊は、お墓を守ってくださいという意味と、亡くなった人の魂をお守りくださいという願いが込められています。榊の尖った葉に宿る神様の力が、お墓と亡くなった人の魂を守ってくれるだろうと思ったのです。

お墓にお供えする葉の意味(柴編)

お墓にお供えする葉には、樒と榊以外に柴(しば)もあります。柴は特定の植物を指しているのではなく、小さな木の総称というざっくりしたものです。そのような芝をお墓にお供えする習慣にも意味があります。

 

お墓に樒や榊をお供えする場合には、それぞれに条件があります。樒は仏教、榊は神道の場合にのみ、それぞれお墓にお供えするのです。神道のお墓に樒をお供えしたり、仏教のお墓に榊をお供えしたりすることはありません。

 

ですが、柴は仏教や神道は関係ありません。仏教のお墓にも神道のお墓にも、芝をお供えすることが可能で、マナー違反にもなりません。

 

昔、樒や榊は簡単が手に入るとは限りませんでした。どちらも比較的手に入れやすい商物ではありますが、それでも土地柄によっては手に入れられないこともありました。

 

その時の代用品としてお墓にお供えされたのが柴です。どうしても樒や榊が手に入れられない時、それらの代わりに芝をお墓にお供えしました。その名残から、現在もお墓にお供えされています。

お墓にお供えする葉は仏教と神道で異なる

お墓にお供えする葉には、さまざまな種類があります。最もポピュラーなものは樒や榊ですが、これらはそれぞれ仏教と神道で異なります。 どちらの葉をお墓にお供えすれば良いのかわからない場合は、柴を用意しましょう。故人を悼む気持ちがあれば柴でも、樒や榊と同じ効果があるので、安心してください。