大住雄一さんの葬儀|牧師であり研究者である男の最後とは?

公開日 : 2020/6/27

更新日 : 2020/9/10

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牧師であり、研究者でもあった大住雄一さんは、2019年9月5日、くも膜下出血により急逝されました。大住雄一さんの最期はどのような様子だったのでしょうか。こちらでは大住雄一さんのプロフィールと葬儀について詳しくご紹介します。

公開日 : 2020/6/27

更新日 : 2020/9/10

目次

大住雄一さんのプロフィール

牧師であり、旧約聖書学者でもあったクリスチャンの大住雄一さんの葬儀についてご紹介する前に、まずはプロフィールについてご紹介します。1955年に東京で産まれた大住雄一さんがどのような人生を歩まれたのか、見てみましょう。

東京大学法学部卒業

大住雄一さんは、1979年に東京大学法学部を卒業すると、同じ年に東京神学大学神学部第3年次へ編入をしました。そして、1983年に同大学神学研究博士課程前期課程を修了しました。1983年にそのまま後期課程へ進学をしますが、1989年に退学をしています。

 

東京神学大学は1949年に設立されたキリスト教神学専門の単科大学であり、日本のプロテスタント最大の教派で、日本基督教団立の唯一の神学校です。牧師などの伝道者や献身者の養成を第一の目的としています。大住雄一さんのように他大学を卒業後に編入学をするケースが多いです。

 

学歴からもわかるように、大住雄一さんは成績が優秀でした。

ドイツへ留学

大住雄一さんは、1983年に東京神学大学大学院修士課程終了後、1985年から1989年にかけて、西ドイツ・ベーテル神学校へ留学をして神学博士を授与されました。1983年から1985年の間は、日本基督教団大宮教会担任教師を務めています。

 

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帰国後

西ドイツ・ベーテル神学校へ在学中に東京神学大学からの推薦によって、学位取得後に大学へ復帰するのと同時に日本基督教団用賀教会にて第3代牧師として着任することになりました。日本基督教団用賀教会では、前任である第2代牧師の意思を受け継ぎ教会学校にも力を入れました。

 

大住雄一さんが牧師に着任するまでは、単身牧師が二代続いた日本基督教団用賀教会ですが、大住雄一さんが牧師に着任したことで妻である真理さんの存在も大きく、教会員の多くは真理さんの細やかな心配りに助けられ、教会に新しい風を吹かせることとなりました。

 

日本基督教団用賀教会で大住雄一さんは、1989年から1991年にかけて兼務担当教師として、1991年からは主任担当教師を務めました。

大住文書の存在

1998年10月に行われた第31回日本基督教団総会にて、「同性愛者を牧師として認めるべきではない」という内容の文章が議場にて配布されました。この文書に大住雄一さんの署名があったことで「大住文書」と呼ばれています。

 

この文書は1月に行われた日本プロテスタント教派の中で最大規模の日本基督教団の常議委員会で同性愛者であると公言した男性が牧師検定を受験することに対して同時静岡教会の牧師である伊藤端男さんが「簡単に認めるべきではない」という内容の発言したことに対してのものでした。

 

この発言には「差別である」という声が多くあがり事態はなかなか収拾しませんでした。これらの異議申し立ては、とくに女性たちを中心に全国的な抵抗運動として広がり、一般紙やマスメディアでも取り上げられました。

所属と研究テーマ

大住雄一さんは、日本基督教学会、日本旧約学会、日本聖書学研究所に所属し、長期の研究テーマは「トーラーの解釈」、短期の研究テーマは「神の臨在を指し示すテキスト」でした。

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多くの訳書と論文を発表

大住雄一さんは、訳書を出版しています。1998年には「自由の擁護-社会史の視点から見た十戒の主題」や2000年には「キリスト教とユダヤ教-キリスト教信仰のユダヤ的ルーツ」、2005年には「十戒-旧約理論の枠組みの中で」の訳書を出版しています。

 

さらに、大住雄一さんは訳書だけでなく論文も多く発表しています。短期の研究テーマとしてもあるように、2001年に「神の臨在の保障-出エジプトの目的とモーセの派遣-」を発表しました。大住雄一さんは論文を発表しない場合でも多くの学会によく出席をしていたそうです。

 

また、2002年には「詩篇研究への補遺‐アルファベートうたをめぐって-」「果てなき探求旧約聖書の深みへ「左近淑記念文集」」「ノアの子らの系図-聖書の中の世界-」「汝の父と汝の母を敬え」があり、2004年には「民の選びの歴史性-「旧約聖書と教会」の主題に向けて」があります。

インターネット伝道会の中央委員として

大住雄一さんは、インターネットを通じで諸教会の伝道を応援し、キリスト教学校や社会事業、関係団体のネットワークを結ぶことを可能とする日本基督教団東京教区インターネット伝導会の中央委員の一人を務めました。

 

日本基督教団東京教区インターネット伝導会のサイトは、2011年10月17日に開設されました。

東京神学大学の学長に就任

1990年から大住雄一さんは、東京神学大学にて教鞭を執り、常勤講師、助教授そして教授を経て、2017年には東京神学大学の第13代学長となりました。

 

大住雄一さんが学長に就任した2017年から、大学卒業後に信徒として教会に仕えることを目指す人の学びの場として「神学研修志望」が設けられました。

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講師としての活躍

東京神学大学学長就任後、東日本大震災国際神学シンポジウム、聖隷クリストファー大学・聖隷クリストファー大学介護福祉専門学校の合同クリスマス礼拝、日本キリスト教団逗子教会の特別伝導礼拝、西東京教区壮年委員会講演会など、大住雄一さんは数多くの講演を行いました。

 

2017年8月の時点で第8回を迎えた伝導推進室が主催、教師委員会後援にて行われた研修には、総勢67名が参加しました。研修では、「教会における葬儀とは何か」を主題として、大住雄一さんは7人の講師のうちの一人として研修に参加しました。

 

研修では、著書の紹介や聖書からの死と復活について、実際の葬儀の体験、葬儀説教の演習など、多彩な切り口からの教会の葬儀に関する学びが行われました。

説教者として礼拝へ

大住雄一さんは30代の頃から、様々な教会へ説教者として礼拝に足を運んでいました。大住雄一さんが足を運んだ教会は数多くありますが、その一部をご紹介します。

 

日本基督教団七尾教会、横浜指導教会、日本キリスト教団洗足教会での春季特別伝導礼拝、日本キリスト教団磐城教会での特別伝導礼拝、神学校等人権教育懇談会での開会礼拝、日本キリスト教団辻堂教会での主日礼拝、294人56教会の人々が集まった埼玉地区新年合同例礼拝

 

日本キリスト教団札幌教会の降誕節第5主日礼拝、日本基督教団宗教改革記念礼拝、日本キリスト教団松本教会、日本基督教団に西新井教会の主日礼拝、青山学院大学など。

旧約聖書学に貢献

大住雄一さんは、日本キリスト教団出版局の「VTJ旧約聖書注解」の「申命記」を執筆中であり、2018年12月に刊行された礼拝用の聖書「聖書協会共同訳」の旧約聖書を担当する翻訳者の一人でもありました。

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著書

日本基督教学会の学会誌や東京神学大学教員と学生らによって組織される神学研究を目的とする神学会の学会誌「神学」、同校の総合研究所の「紀要」「伝道と神学」、日本聖書学研究所の「聖書学論集」にも論文が載っていますが、著書も出版されています。

 

大住雄一さんの著書には、1996年「みことばに生きる」、1999年「十戒」、2001年「聖書講座「旧約を読む」」、2009年「教会学校教案2009増刊号旧約聖書テキスト研究」、2015年「神のみ前に立って-十戒の心」、2017年「聖書-神の言葉をどのように聴くのか」があります。

葬儀は東京神学大学礼拝堂にて

大住雄一さんは、学者であるという枠にとらわれることなく、広い視野を持ち、キリスト教を広めることに対しても真剣に取り組まれてきました。大住雄一さんにとって旧約聖書は、深く、遠く、そしてきわめて刺激だと感じていたそうです。

死因はくも膜下出血

大住雄一さんは、2019年に入ってから一度、脳梗塞を発症しました。しかし、その後回復をして東京神学大学での授業も行われていました。しかし、2019年9月4日にくも膜下出血が原因で倒れ都内の病院へ入院し、意識不明の状態が続いていました。

 

そして、翌9月5日の午後3時4分に、大住雄一さんは天に召されました。64歳の生涯でした。

葬儀は大学葬

大住雄一さんの葬儀は、2019年9月9日12時から午後3時まで東京神学大学礼拝堂にて執り行われました。喪主は妻である真理さんが務めています。葬儀での説教は、芳賀力学長代行によって行われました。説教は「ヨブ記1:31-22」「テモテへの手紙二4-:1-8」を引用したものでした。

 

大住雄一さんの葬儀が行われた2019年9月9日は、千葉市付近に強い台風15号が上陸し、強い勢力を保ったまま関東を縦断しました。その影響で、東京都三鷹市にある東京神学大学の周りも大渋滞が起こりましたが、それでも多くの方が大住雄一さんの葬儀に参列しました。

天上で安らかに

多くの人々に慕われ、伝道師としての生涯を送られた大住雄一さんのプロフィールと葬儀についてご紹介しました。大住雄一さんの葬儀は、学長を務めた東京神学大学の礼拝で行うというクリスチャンとしても学長としてももっともな葬儀でした。