緒方貞子さんの葬儀 |日本人初の国連難民高等弁務官、92歳で逝去

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2020/9/10

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緒方貞子さんは日本人初の国連難民高等弁務官であり、難民をはじめ弱い立場の方々の支援に功績のあった人物です。緒方貞子さんはキリスト教カトリック信者なので、葬儀は教会で執り行われました。今回は緒方貞子さんのプロフィールとキリスト教の葬儀について解説します。

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2020/9/10

目次

緒方貞子さんのプロフィール

日本人初の国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子さん。難民をはじめ弱い立場の方々の支援、そして国家や軍隊に対しては粘り強い交渉で、難しい問題を打開してきた人物です。

 

緒方貞子さんはキリスト教徒でカトリック信者です。葬儀も教会で行われています。こちらでは緒方貞子さんの激動の青春時代、そして偉大な国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の指導者になるまでの軌跡を紹介します。

17歳で太平洋戦争終戦

1927年(昭和2年)に誕生した緒方貞子さんは、外交官の父親そして曾祖父は犬養毅元首相という名門一家の出身です。

 

幼少時は父親の転勤でアメリカや中国で生活を送り、広い世界を自分の眼で見てきた人物です。そんな彼女が日本へ帰国して間もなく、太平洋戦争が勃発します。

 

緒方貞子さんも勤労動員(無報酬で軍需産業へ徴用すること)に駆り出されてしまいます。しかし、戦況はみるみる悪化していきます。

 

東京大空襲(昭和20年3月)では、B29(米軍の大型爆撃機)が投下する焼夷弾から逃げ惑う経験もしました。

 

その後、家族と共に軽井沢へ疎開し、終戦の詔勅を聞くことになりました。彼女の青春時代は戦争の凄惨さを痛感する機会となったのです。

 

上皇后美智子様との友情

終戦後、緒方貞子さんは東京に戻り聖心女子学院の専門学校へ入学(その後、聖心女子大学へ進学)、この頃、正田美智子さん(後の上皇后美智子様)は聖心女子学院中等科へ入学しています。

 

緒方さんも美智子さんも、軽井沢へやってきてはテニスに夢中となりました。緒方さんは若く活発な美智子さんがコートを駆け回る姿に共感していたそうです。

 

美智子さんも緒方さんを非常に尊敬しており、彼女と同じ大学の英文科に進学しました。その後もお二人は親交を深めていきます。

 

その一方で緒方さんは、なぜ日本が無謀な戦争に突き進み、国内はおろか海外の方々の多大な犠牲を払う事態となったのか、について疑問を持ち始めます。

 

次第に国際関係・国際政治に興味を持ち始め、勉学へ励むきっかけとなりました。このことが、後に国連難民高等弁務官へ就任する礎となるのです。

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国際連合デビュー

緒方貞子さんは、1968年(昭和43年)国際基督教大学の講師時代、市川房枝参議院議員の要請で国際連合総会日本代表団へ加わることになりました。

 

そして1976年日本人女性として初の国連公使に起用され、国際連合での彼女の活躍が始まります。1978年には国連日本政府代表部特命全権公使、ユニセフ執行理事会議長に就任しました。

 

その後、国連人権委員会日本政府代表(1982年)、国際人道問題独立委員会委員(1983年)、1990年国連人権委員会ビルマ人権状況専門官を歴任しました。

 

このように、緒方貞子さんはいろいろな役職へ就き国際問題へかかわる中で、難民支援の大切さを痛感していきます。

 

長年にわたり国際舞台で培った知識と経験を武器として、いよいよ1991年第8代国連難民高等弁務官へ就任することになるのです。

偉大なUNHCR指導者へ

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップになると、湾岸戦争(1991年)時のクルド人難民の対応に関して、当事務所の保護対象でなかった国内避難民の支援を決断します。

 

また、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(1991年)では、サラエボ市民向けの援助活動で欧米諸国の軍隊と協力しつつ、内戦の激化の抑制と支援物資の輸送に徹して、その活動を成功へ導くことになります。

 

その後、ルワンダ虐殺(1994年)で発生した難民の支援にも当たります。こちらでも、欧米諸国を中心とした諸国の輸送支援の協力を得て、難民保護の主導的な役割を担いました。

 

緒方貞子さんは、このような難民支援を通して、従来の国家安全保障だけではなく、貧困・紛争等から弱い立場の人々を守る、「人間の安全保障」の重要性を世界へ訴えていくことになります。

緒方貞子さんの葬儀について

緒方貞子さんは2019年10月22日、92歳でお亡くなりになりました。緒方さんはキリスト教カトリック信者なので、葬儀も都心の教会で営まれています。

 

葬儀はカトリックの作法に則り執り行われました。こちらでは、緒方貞子さんの葬儀内容とその参列者について取り上げます。

近親者で営まれた葬儀

緒方貞子さんの葬儀は、2019年10月29日に東京都の田園調布の教会で執り行われました。葬儀の内容は非公開とされています。

 

葬儀には約100人が出席しました。参列者はほとんど近親者の方々で、質素な葬儀であったと言われています。

 

とはいえ、教会で葬儀が行われている以上、厳かな場の雰囲気を壊さないキリスト教のしきたりに従った葬儀であったと考えられます。

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美智子上皇后も弔問に

緒方貞子さんの葬儀には、親交が深かった上皇后美智子様も参列していました。午後0時半ごろ、非公式に弔問へ訪れています。

 

非公式とはいえ皇族の方が弔問に訪れる以上、上皇后美智子様の乗ったお車は白バイに先導され、周辺は警察官の警護で一時的に通行止めとなりました。

 

上皇后美智子様の葬儀場への滞在は、葬儀の影響や安全を考え葬儀が始まる前の10分程度だったと言われています。

緒方貞子さんはキリスト教の葬儀で見送られた

緒方貞子さんはキリスト教式(カトリック)の葬儀で見送られました。このように、皆さんになじみ深い仏式ではなく、キリスト教式の葬儀へ参列する機会もあることでしょう。

 

そんな時、キリスト教式の葬儀の流れや作法に困惑してしまう場合があるかもしれません。そのため、ある程度キリスト教式の葬儀の知識を持っておいた方が無難です。

 

こちらでは、キリスト教(カトリック)の葬儀の流れや、参列に際しての服装・マナーについて解説します。

キリスト教(カトリック)の葬儀の流れ

キリスト教(カトリック)の葬儀の作法は、仏教で執り行われる葬儀の作法と大きく異なります。聖火斉唱、パンとワインを参列者に分ける儀式、献花等と仏教には見られない葬儀内容です。

 

とはいえ、葬儀から告別式という流れは同じです。キリスト教(カトリック)の葬儀・告別式は概ね次のような手順で進められます。

 

  1. 葬儀の会場に参列者一同が着席、開始時刻を待つ
  2. 入堂聖歌を全員で斉唱
  3. 神父の開式の挨拶し、棺に聖水がかけ開式を宣言
  4. 葬儀のミサ(聖書朗読と神父の説教等を行う)
  5. 遺族がパンとワインを祭壇に捧げ、神父はそれを参列者に分ける
  6. 式次第は告別式へと移り、入堂聖歌の斉唱
  7. 神父によって告別式の開式が宣言
  8. 故人の生前の略歴を紹介
  9. 弔事や弔電が読み上げられる
  10. 献花
  11. 出棺式→火葬場へ

 

皆さんが参列の際に心配なのは「2」「6」の入堂聖歌や、「10」献花の方法だと思います。いずれも、周りの方々のやり方をみれば対応できることでしょう。

 

入堂聖歌、献花の方法については次でわかりやすく説明します。

キリスト教の葬儀への参列

葬儀に参列の際、参列者の行わなければならないことが聖歌の斉唱と献花です。とはいえ、参列がはじめてという方々は戸惑うはずです。

 

聖歌の斉唱の場合、ご自分が聖歌を暗記しているわけでないなら、無理に歌う必要はありません。また、葬儀式場では歌詞の配布もあると思います。それを見ながら、まわりの方々に合わせて歌っても良いでしょう。

 

献花については、喪主→遺族→親族→その他の参列者という形で回ってきます。喪主や遺族の方々のやり方を真似すれば、失礼には当たりません。

 

献花の作法は次の通りです。

 

  1. ご自分の順番が回ってきたら祭壇前へ進む
  2. 係の人からお花を受け取る
  3. 花の部分を右手に来るようにして持つ
  4. 故人の遺影に対して一礼
  5. 祭壇側にお花の根元が来るよう、お花を時計回りに回す
  6. 左手の甲を下に向け、右手を茎の下へ軽く添え献花台に供える
  7. 遺族と神父に一礼した後、席へ戻る
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参列の際の服装

キリスト教(カトリック)の葬儀であっても、仏式の葬儀の場合と変わらず喪服や、地味な色の服装で構いません。性別ごとの参列者に相応しい服装は次の通りです。

 

男性の場合は、葬儀の場の雰囲気を壊さない黒系の服装で参列します。

 

  • 喪服またはスーツ:平服なら黒、グレー等の地味な色のスーツ。
  • シャツ:白無地が望ましい。
  • ネクタイ:黒、グレー、紺色
  • 靴下:黒か紺、グレー
  • 靴:革靴(黒)アクセサリー:地味な時計

 

女性の場合にカトリック女性信者ならば、正装として黒いベールつきの帽子をかぶります。ただし、信者でないなら必要はありません。

 

  • スーツまたはワンピース:黒、グレー等のスーツまたはワンピース。
  • ストッキング:黒無地、裸足での出席は避ける。
  • 靴:革靴(黒)、ヒールが高いもの・細いものは避ける。
  • アクセサリー:地味な時計、結婚指輪ははめて良い。派手なアクセサリーは避ける。

 

キリスト教式の葬儀でも、華やかな服装、肌の露出が多い服装、派手な貴金属の着用はマナー違反です。

参列の際のマナー

葬儀の場である以上は、周りの方々と大声で話す、明るい声で話しかけるのはマナー違反です。場の雰囲気を壊す言動は避けましょう。

 

ただし、遺族へのお悔やみの言葉は述べません。なぜなら、キリスト教では人が亡くなることを永遠の命の始まりと解釈しています。そのため、お悔やみの言葉は不要です。

 

一方、キリスト教式の葬儀であっても仏式の場合と同様に香典は必要です。気になる金額ですが故人との関係性で異なってきます。

 

  • 3親等内の親族(兄弟姉妹、甥姪等):5万円〜10万円程度
  • 3親等以上の親族(親戚):1万円〜3万円程度
  • 故人の友人・知人等:1万円程度

 

お金を入れる袋は無地で構いませんが、準備できるなら十字架やユリの花が描かれた袋でも良いでしょう。

 

表書きはカトリックの場合、「御花料」「御ミサ料」「献花料」「御霊前」と記載します。薄墨で書くのが一般的です。ただし、サインペン・ボールペンでの代用でも問題はありません。

 

キリスト教向けの香典袋は、文房具店や百均のお店、コンビニエンスストアで販売されています。そちらで用意した方が無難です。

緒方貞子さんが貫いた信念

緒方貞子さんは難民支援の功績が認められ、各国からたくさんの栄典(位階や勲章)が授与されました。これは人間の安全保障を信念として貫いた成果です。

 

世界の弱い立場の方々のために、最前線に立って汗を流した日本人・緒方貞子さんは、今なお世界中の人々の称賛を集めている人物と言えます。