クリス・リードさんの葬儀 | 姉のキャシーさんによる涙の弔辞

公開日 : 2020/5/13

更新日 : 2020/9/10

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日本のアイスダンス界を長年牽引してきたクリス・リードさんが、現地時間の2020年3月14日、米デトロイトで亡くなりました。診断は心臓突然死。30歳の若さでした。葬儀は3月21日デトロイトにて営まれています。そんなクリス・リードさんの最後のお別れの様子をご紹介します。

公開日 : 2020/5/13

更新日 : 2020/9/10

目次

クリス・リードさんのプロフィール

フィギュアスケートのアイスダンス日本代表で3大会連続五輪出場を果たしたクリス・リードさん。多くのフィギュアスケートファンに愛された彼は、日本ではメジャーではなかったアイスダンスを長年に渡ってけん引。今後は指導者としての活躍が期待されていました。

5歳からスケートを始める

クリス・リードさんは、1989年7月7日、ミシガン州カラマズー市で日本人の母と、米国人の父の間に誕生しました。2歳上の姉キャシーさんと5歳下の妹アリソンさんの3人姉弟。

 

フィギュアスケートが好きだった母である典子さんの影響で、3歳の時に初めて氷上に立ち、5歳からフィギアスケートを始めています

姉弟チームの登場

2001年からキャシーさんとペアを組んで、アイスダンスに転向。クリス・リードさんはノービスからアイスダンスの基礎を学び、アイスダンス一筋の競技人生をおくることとなります。長身で抜群のスタイル、さらに氷上で放たれる華やかさが見るものを引きつけました。

 

2005年より、新進気鋭の若手コーチだったニコライ・モロゾフ氏に指導を受けることに。それにより、一気に才能が開花します。2006年の全米ノービス選手権で優勝を勝ち取っています。

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アメリカのホープから日本のエースへ

日米両国の国籍をもっていた二人は、日本代表として活動する道を選択することに。2006~2007シーズンから日本に移ると、瞬く間に頭角を現しました。

 

2007年に全日本選手権で初優勝を飾ったのを機会に、クリスさんはキャシーさんと共に、日本のトップチームとして、世界を舞台に活躍の場を広げます。

 

そして翌シーズンから8年連続で世界選手権に出場。全日本選手権7回優勝、オリンピックに3回出場という、日本のトップチームとして揺るぎない地位を確立しました

 

 

日本のアイスダンスの普及に貢献

さらに二人はアイスダンスの普及におおいに貢献。2014年の全日本選手権は、アイスダンスに7組出場というかつてない出場者数を打ち出しています。彼らの演技は多くのファンの心を掴み、日本におけるアイスダンスの人気と普及に大きく貢献しました。

オリンピックでは日本らしいプログラムを演じた

クリス・リードさんは、姉のキャシーさんとバンクーバー、ソチオリンピックに。村元哉中選手と組んで2018年平昌オリンピックに日本代表として出場しました。3度のオリンピックシーズンには和風のプログラムにも挑戦しています

 

バンクーバーオリンピックのショートプログラムは、鼓童による「さくらさくら」で和風の衣装をまとって演じました。

 

そしてソチオリンピックシーズンのフリーでは、アニメとゲームの音楽を使用した「将軍」で、若き武将に扮しています。村元哉中選手と組んだ平昌五輪のフリーは坂本龍一さんの曲で、桜をテーマに演じています。

カップル競技ネックだった日本の貴重な存在に

ソチオリンピックや国別対抗戦から始まった団体戦では、競技人口が少ないカップル競技は日本のネックでした。その中でクリスさんは、日本のアイスダンスの要となっていきました。

 

彼は長い現役生活の中で、ニコライ・モロゾフやマリナ・ズエワといった一流のアイスダンスコーチの教えを受けています。

 

カップル競技の強化が一番の課題である日本のフィギュアスケート界にとって、世界トップレベルのアイスダンス指導を経験しているクリス・リードさんは、この上なく貴重な存在でした。

 

 

アジア人として日本のアイスダンス界に歴史的快挙

2015年にキャシーさんが引退した後は、村元哉中選手を新たなパートナーとしてカップルを結成。村元選手とコンビを組んだ18年平昌五輪は日本勢過去最高に並ぶ15位という結果に。

 

新たなチームでは、2018年にチームを解消するまで、全日本選手権で3回優勝、3回目となる平昌オリンピックで日本人最高位の15位に輝きました。そして2018年世界選手権では日本人最高位の11位という成果を残しています。

 

特に2018年四大陸選手権では、アジア人のアイスダンスチームとして初めて、ISU選手権のメダルを獲得しました。日本のアイスダンス界において歴史的な快挙を成し遂げています。

競技生活は怪我との戦いであった

華々しい活躍の一方で、彼の競技生活は怪我との戦いでもありました。幾たびもの怪我を経験し、苦しみを乗り越えながらの競技生活でした。2011年のNHK杯フリーの5分間練習で他の選手と衝突し、右足小指を骨折しています。

 

さらに膝の怪我は深刻で、競技人生を通して彼を苦しめました。2007年に右ひざを負傷してから、4回もの膝の手術を受けています。

 

それでも彼のアイスダンスへの情熱が衰えることはありませんでした。痛みで練習できない日々が続いても、いつかできるという希望を持ち続けたといいます。何度も手術を乗りこえ、特別なトレーニングを繰り返しながらも、決して競技を諦めることがありませんでした。

 

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引退後もアイスダンスの普及の為に活動拠点を日本に

2019年12月に引退を表明し、18年間にわたる現役生活に終止符を打ちました。そして、日本でアイスダンススクールを始めることに。クリスさんは、アイスダンス界を代表するコーチに学んだことを後輩たちに伝えていくことを楽しみにしていたといいます。

 

そして先に、日本でコーチと振付の仕事を始めていたキャシーさんと合流し、大阪に新設された関空アイスアリーナを拠点にコーチに就任することに。2019年12月25日、リンクのオープニングセレモニーに、キャシーさんとともに出席しました。

 

これから本格的に日本で後輩の育成に人力するため、トレーニング拠点だったデトロイトから荷物を整理して日本に送った直後だったといいます。クリス・リードさんは、日本の地を舞台に未来のオリンピアンを育成していくはずでした

 

 

葬儀は現地デトロイトにて

3月21日午前8時より、クリス・リードさんの告別式がデトロイト・ミシガン州のシュレーダーハウェル葬儀場で営まれました。会場では、日の丸を背負って戦った3回のオリンピックシーンなど、彼の競技人生を彩るスライド写真が次々に流されました。

フェイスブックやインスタグラムにてライブ配信

インスタグラムを通じて姉のキャシーさんから、彼の葬儀を中継配信すると告知がありました。コロナウイルスの感染拡大に伴い、ファンがクリスさんに心を寄せられる時間を作ろうとの配慮であったといいます。

 

告別式の様子は、葬儀場のウェブサイトやフェイスブック、インスタグラムを通じてライブ配信されています。現在はLive配信は終わってますが、キャシーさんのFacebookでも録画を見ることができます。

 

なお、葬儀場のウェブサイトには日本語と英語双方で追悼記事と葬儀のお知らせが掲載されており、メールアドレスを登録するかFacebook認証すると、お悔やみのメッセージを寄せることができるようになっています。

姉のキャシーさんの日本語によるスピーチ

キャシーさんは、英語に先立ち、まず日本語で弔辞を述べています。キャシーさんの日本語のスピーチに対してSNSにて、たくさんのファンの方々から多くのコメントが寄せられています

 

彼女は日本語でのシピーチを行った後、英語でもあらためて弔辞を述べ、30歳という若さで急死した弟を悼みました。

キャシー・リードさん弔辞「あなたのために強くなりたい」

遺影の横であふれる涙をこらえきれずに、キャシーさんは弔辞を読み上げました。「クリスはリーダーとして、私をリードしてくれました。私たちはいつも一つでした」などと思い出を振り返りました。

 

さらに「私はこれからクリスと一緒に、コーチとして未来の日本のアイスダンスチームを作る計画とアイデアを分かち合い、もっとたくさんのことを一緒に作りあげることにワクワクしていました。私は新しいこれからのジャーニー(旅)を一緒に行くことに、とても興奮していました。」

 

「あなたの声が懐かしい。あなたの笑顔が懐かしい。あなたと手を繋ぐことが懐かしい。クリス、あなたのために強くなりたい」などと涙ながらに語っています。

日本スケート連盟も公式HPに特設ページを開設

日本スケート連盟もクリス・リードさんの功績をたたえ、公式HPに特設ページを開設しました。特設サイトでは、彼のこれまでの競技人生を振り返ることができます

 

日本連盟の長島昭久会長は「長年にわたり日本のアイスダンスの発展に貢献していただき、改めて深く感謝の意を表します」とコメントしています。

クリス・リードさんの名前でメモリアル基金を設立

新しい世代のスケーターの育成に情熱を抱いていたクリス・リードさんの思いを実現するために、彼の名を冠したメモリアル基金が設立されました

 

シングルが男女とも高い人気を誇る日本では、普及が遅れている種目であるアイスダンス。彼は新しい世代のスケーターを育成することに、強い情熱を抱いていました。追悼のお花やギフトの気持ちを、寄付によせてくださいと呼びかけられています。

多くのファンに愛されたクリス・リードさん

日本を心から愛し、日本代表であることを誇りにしていたクリス・リードさん。今後はアイスダンスの普及の為に、選手育成に取り組むことを発表されていた矢先でした。葬儀ではSNSにてたくさんのファンの方々からコメントが寄せられるなど、クリスさんがいかに愛されていたかが偲ばれます。クリス・リードさんのご冥福をお祈りいたします。