死装束とは?由来やルール、死装束の装飾品に至るまで大解説!

公開日 : 2020/11/5

更新日 : 2020/12/8

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亡くなった人に最後に着せるのが死装束です。なぜ、亡くなった人にわざわざ死装束を着せる必要があるのでしょうか?由来を紐解いていくとその理由がわかります。ここでは死装束の由来はもちろん、ルールや装飾品や金額に至るまで解説します。

公開日 : 2020/11/5

更新日 : 2020/12/8

目次

死装束の由来やルール

亡くなった人に必ず着せるのが死装束です。どうしてわざわざ亡くなった人に死装束を着せるのでしょうか?そこには昔から伝わる由来が関係しています。 死装束の由来はもちろん、死装束におけるルールについても解説します。

亡くなった人が着る着物のこと

死装束とは、「死」という文字が入っていることからもわかるように、亡くなった人が着る着物のことです。亡くなった人に死装束を着せる理由として、仏教が関係しています。

 

巡礼者や修行僧は、悟りの道を開く修行のために旅に出ることが多くありました。悟りの道を開くということは、仏様に近い存在になるということです。普段着では失礼に当たると考え、特別な着物を着て修行の旅に出ていました。

 

亡くなった人の魂は、仏様のもとへ赴くために冥土の旅を始めます。この冥土の旅が、現世の巡礼者や修行僧の悟りの道を開くための修行に似ていると考えられ、特別な着物を着せるという考えが生まれました。

 

「死装束」という言葉は、漢字だけで見るとあまり良い印象は受けません。しかし、本来は神様のもとへ赴くための神聖な服装なのです。

死装束は白が基本

死装束は白が基本とされています。理由は、白は浄化の色であり、純粋さや無垢を表す色と考えられているからです。

 

亡くなった人は仏様のもとへ赴くために冥土の旅に出ます。冥土の旅は神聖なものなので、穢れがあってはいけません。

 

白は穢れなき純粋さを表す色と考えられているため、死装束は白が基本とされているのです。現世での穢れを白の死装束で落とし、純粋な姿になって仏様に会うための旅に出る、ということです。

死装束の装飾品

一口に死装束と言っても、さまざまな装飾品があります。亡くなった人にはこれらすべての装飾品を身につけるというのが一般的なルールです。 死装束の装飾品とその意味について解説します。

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着物や経帷子

死装束のメインとも言えるのが着物や経帷子(きょうかたびら)です。亡くなった人には、現世での服ではなく、特別な着物や経帷子を着せるというのが一般的な習わしです。

 

死装束として亡くなった人に着せる着物や経帷子には、梵字が記されています。これは、巡礼者や修行僧が旅に出る際に身につける着物にも、梵字が記されてるからです。

 

亡くなった人の魂は冥土の旅へ出発すると考えられています。この冥土の旅は巡礼者や修行僧の旅と同じだと考えられているため、着物や経帷子にも梵字を記すようになりました。

近年は洋服の方が多い

以前は、亡くなった人の死装束として着物や経帷子を着せることが一般的でした。しかし、時代の流れとともに、着物や経帷子を着せないという人達も増えてきています。

 

着物や経帷子の代わりに死装束として着せるのが洋服です。故人が生前に気に入っていた洋服や、仕事着として着用していた洋服を死装束の代わりに着せることが増加しています。

編み笠

死装束の装飾品として亡くなった人に着せるのが編み笠です。編み笠は藁で編んだ円錐形の帽子のような形をしたものです。

 

亡くなった人の魂が行う冥土の旅は、現世の巡礼者や修行僧が行う悟りの旅と同様だと考えられています。巡礼者や修行僧は雨風を防ぐため、頭に編み笠を被ります。

 

冥土の旅路で雨や風が吹くのかどうかはわかりません。しかし、冥土の旅が悟りの旅と同様だと考えられているため、亡くなった人にも巡礼者や修行僧と同じ編み笠を被せるのが習わしです。

手甲・杖

亡くなった人の手には手甲をつけ、杖を持たせるというのが死装束における習わしです。どちらも巡礼者や修行僧が身につけているからです。

 

手甲は上腕から手の甲までを包む長い手袋のような形をしています。女性が真夏に身につける日焼け防止用の長い手袋のようなものと想像すると良いでしょう。怪我をしないようにという意味で身につけます。

 

また、杖は冥土の道中で倒れることがないようにという意味があります。冥土の旅路は石や岩などが転がった荒れた道だと考えられています。転んで怪我をすることがないようにという配慮の意味を込めて、杖を持たせるのです。

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脚絆・白足袋・わらじ

亡くなった人の足元には、脚絆(きゃはん)と白足袋とわらじを身につけます。これらも巡礼者や修行僧が身につけているものと同じです。

 

脚絆は脛に巻くもので、現代では「ゲートル」とも呼ばれています。脛を怪我から守るためのもので、道中で転んでも危険がないようにという意味で、亡くなった人に身につけます。

 

足袋は現在の靴下の代わりです。足袋は必ず白を身につけるというのが習わしです。白は純粋で神聖な色として考えられています。仏様のもとへ赴く冥土の旅で、失礼がないようにという意味も込めて、白足袋を身につけます。

 

わらじは靴の代わりです。冥土の旅では、滑りやすいところもあると考えられています。わらじは滑り止めの効果もあるため、通常の靴よりも危険が少ないと考えられているのです。

頭陀袋・六文銭

亡くなった人の首には頭陀袋(ずたぶくろ)をかけ、その中に六文銭を入れるというのが通例です。頭陀袋と六文銭は、仏教の教えに由来しています。

 

亡くなった人は三途の川を渡る際、六文銭を払うと船で渡ることができると考えられています。三途の川には危険な生き物が生息しており、無理矢理渡ろうとすると大変危険な目に合うと伝わっています。

 

安全に三途の川を渡ることができるようにという願いを込めて、頭陀袋に六文銭を入れて持たせます。そうすることで、亡くなった人の魂は安全に三途の川を渡ることができるのです。

数珠

死装束の一部として数珠を持たせることがあります。これは地域や宗派によって異なります。ただ、巡礼者や修行僧は必ず数珠を持っています。

 

亡くなった人に数珠を持たせることで、現世での煩悩が祓われると考えられています。煩悩が完全になくなることで、仏様のもとへ行くことができるというのが仏教の教えです。

 

冥土の旅の道中、数珠を使って手を合わせ、煩悩を消滅させることで極楽浄土へ行くことができるように、という意味と願いが込められているのです。

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三角頭巾

亡くなった人の頭に三角頭巾をつけることがあります。昔話などで登場する幽霊が身につけている三角形の頭巾です。

 

三角頭巾は、閻魔大王に会う際の正装と考えられています。昔は高貴な人に会う際には、冠や代わりとなる帽子を身につけるというのが通例でした。閻魔大王は高貴な存在とされ、三角頭巾は冠や帽子の代わりとされています。

 

また、三角頭巾には魔除けの効果もあると考えられています。冥土の旅ではさまざまな悪霊も存在しています。そのような悪い霊に取り付かれないようにという意味も込められているのです。

死装束における注意点

死装束を亡くなった人に着せる際、いくつかの注意点があります。 そこには何故そうしなければならないのか、という理由もあります。 そこで、死装束における注意点とその理由について解説します。

左前にして着せる

死装束を着せる際には、必ず左前にして着せるというのが習わしです。通常、浴衣や着物を着る際には右前になります。死装束はその反対ということです。

 

何故左前にして着せるのかという理由については、奈良時代までさかのぼります。奈良時代に「衣服令(えぶくりょう)」という法律が制定されました。これは、庶民は着物を右前、貴族以上は左前に着るとした決まりです。

 

人間はなくなると仏様は神様に近い存在になると考えられていました。それは庶民にとって、高貴な存在になるということです。そのため、亡くなった人に着せる死装束は、当時の貴族が着ていた着物と同様の左前が定着したと言われています。

おしゃれなものは控える

近年、死装束として着物や経帷子を着せる人が減ってきています。代わりに洋服を死装束として着せるところが増加傾向にあるのが現状です。

 

死装束として洋服を着せる際、おしゃれなものは控えるというのが一般的なマナーです。おしゃれなものは正装としてふさわしくないと考えられているからです。

 

特に装飾品の多いおしゃれな洋服は厳禁です。これは火葬をする際、遺骨を傷めてしまったり、火葬の際の事故につながったりするという理由も挙げられます。できるだけシンプルなものにした方が良いでしょう。

死装束の金額や購入方法

一口に死装束と言っても、着物や経帷子だけではなく、さまざまな装飾品も含まれています。これらを揃えるためにはどれくらいの費用がかかるのか、気になっている人もいるでしょう。 また、死装束はどこで販売されているものなのか、疑問に感じている人もいるかもしれません。 そこで、死装束の一般的な相場や購入方法について解説します。

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死装束の金額

死装束は着物や経帷子だけでなく、さまざまな装飾品も必要です。紹介した装飾品だけでも、着物や経帷子以外では10種類もあります。これらすべてを揃えるのに、どれだけの費用がかかるのか不安になっている人もいるかもしれません。

 

死装束の相場は、地域や身につける装飾品の種類や数などによって異なります。そのため、一般的な相場にも開きがありますが、数千円~十万円ほどと言われています。金額に開きがあるのは、素材や種類によって異なるからです。

 

近年では、着物や経帷子ではなく、洋服を死装束として着せるところも増えてきています。その場合、編み笠や脚絆や手甲などのような装飾品の多くは省かれます。すると、必然的に死装束にかかる費用も安く抑えることができます。

 

また、着物や経帷子自体も素材によって金額に大きな差があります。絹や豪華な刺繍が施された着物や経帷子の場合は、金額が高くなります。

死装束の販売元

死装束はそもそもどこで購入できるのでしょうか?お店で死装束を売っているのを見たことがないという人も一定数存在します。死装束を販売しているところは主に以下の通りです。

 

  • 病院の売店
  • 仏壇や仏具屋さん(葬儀業を営んでいるところにかぎる)
  • 葬儀屋さん

 

一般的に死装束は葬儀屋さんで準備してくださいます。葬儀屋さんによっては着物か洋服か選ばせてくれるところもあります。金額についても明確な料金表が提示されますので、相談して選ぶと良いでしょう。

 

また、大病院の場合は病院の売店で死装束を売っていることもあります。病院で亡くなった場合、売店で死装束を購入して着せるということも多くあります。病院の売店は誰でも利用可能なので、入院歴がなくても購入することができます。

 

葬儀業を営んでいる仏壇や仏具屋さんでは、死装束の販売を行っているところもあります。しかし、葬儀業を営んでいない場合は販売していない可能性が高いので注意しましょう。

着物販売店では死装束は取り扱っていない

死装束と呼ばれている多くのものは、着物です。そのため、着物販売店なら死装束が手に入ると考える人も一定数存在します。

 

結論から申し上げますと、着物販売店では死装束は取り扱っていません。死装束は着物の形をしていますが、通常の着物とは異なる存在だからです。

 

死装束はどちらかと言うと仏様や神様に会うための正装として考えられています。神具や仏具に近い着物という位置づけになっているため、着物販売店では取り扱っていないのです。

海外の死装束

日本では死装束が一般的ですが、死装束は日本だけのものではありません。海外でも死装束という考え方があります。 ただし、日本の死装束と海外の死装束では、見た目が異なります。具体的に海外ではどのような死装束があるのか紹介します。

ヨーロッパはスーツやドレス

ヨーロッパでは、死装束として亡くなった人にスーツやドレスを着せるのが通例です。スーツやドレスには「晴れ着」という考え方が定着しているからです。

 

キリスト教では、人が亡くなったことをとてもめでたいことだと考えています。現世から解放され、神様のもとへ旅立つことはこの上ない祝福なのです。

 

神様のもとへ旅立つという喜ばしい旅路には、一番の晴れ着を着せてあげようというのがヨーロッパの考え方です。そのため、スーツやドレスを死装束として着せます。

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韓国は「寿衣」

韓国では死装束として「寿衣(スウィ)」を着せるのが習わしです。見た目は真っ白な着物で、日本の着物や経帷子と似ています。

 

ただ、韓国では生前のうちに「寿衣」を用意します。元気な間に購入しておくと、無病息災のご利益があると考えられているからです。そのため、成人すると「寿衣」を家族から贈られたり、自分で購入したりします。

 

「寿衣」という文字を見ればわかるように、「寿」というおめでたい漢字が使われています。亡くなった時に着せる死装束ではありますが、この着物自体は縁起物として韓国で親しまれているのです。

死装束は故人を現世から浄土へ送り出すための正装

死装束について解説してきました。死装束は故人を現世から浄土へ送り出すための正装です。仏様や閻魔大王に対して失礼にならないようにするための服装ですから、正しい知識を持って準備をしてください。