御仏前の意味と書き方を解説 金額や作法も | 御霊前との違いも説明

公開日 : 2020/11/28

更新日 : 2023/8/25

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御仏前の書き方について調べてみました。名前や住所、金額の書き方を詳述します。また、夫婦や連名の場合の書き方、金額の相場も解説します。さらに、それにまつわる様々なしきたり、宗教や宗派による違いまで確認します。そして、御霊前との違いも見ていきます。

公開日 : 2020/11/28

更新日 : 2023/8/25

目次

「御仏前」の意味

この項では、「御仏前」という言葉の意味について見ていきます。聞き慣れない言葉ですが、仏教の式典においては大事な意味を持っています。御仏前の書き方を知る上で、まず言葉の意味を理解することは大切です。

御仏前とは

御仏前とは、仏の前という意味の「仏前」という言葉を丁寧に表した表現で、仏前への供物や香典袋の表書きに用います。「仏前」の仏とは、仏教で悟りを得た者や、死んだ人またはその霊という意味があります。 御仏前の読みは「ごぶつぜん」であり、「御佛前」とも書けます。「仏」は「佛」の略字です。「仏」が略字だからといって、仏前に対して失礼ということはなく、どちらの表記を使っても構いません。

御仏前の書き方

この項では、御仏前の表書きの書き方について見ていきます。この書き方には、様々なしきたりがあるので、注意が必要です。夫婦や連名の場合の書き方など、項目別に詳しく確認します。

名前の書き方

名前は表書きの下段中央にフルネームで書きます。香典は個人で出すのが基本なので、家族の場合は世帯主の名前を書きます。

夫婦の場合

夫婦では、夫の名前を書くことがマナーです。ただし、夫婦共に、故人と親しくしていたか、妻側の親族が亡くなった場合には、夫婦連名でも書けます。この場合、夫の名前を下段中央に、妻の名前の名字を省略して、夫の名前の左側に書きます。

連名の書き方

連名の場合は、右端に代表者を書き、その隣に目上の人から順に名前を書きます。記載する人数は、多くても4人までにしましょう。 それ以上の人数で、連名にする場合には、表には代表者のみ氏名を書き、後の人は「~一同」とします。その場合、白い便せんに全員の氏名と住所を記載して、中袋に同封するようにします。

中袋の書き方

中袋の書き方は、表面に金額を記載し、裏面には氏名と住所を記載します。最近の香典袋には、あらかじめ、金額や氏名と住所を記入する場所が印字されていることがあり、その場合には、印字にしたがって書きます。

薄墨を使うかどうか

四十九日以後の法要で捧げられる御仏前の表書きには、薄墨ではなく、濃墨で書いて構いません。薄墨を使用する書き方は、通常葬式でわたす香典のみであり、四十九日以後に使用する御仏前の表書きには、薄墨を使用する必要はありません。

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金額の書き方

金額の書き方は、基本的には漢数字を使用します。中袋の表面に、「金~円也」と、はっきりと分かりやすい文字で書きます。 その際、数字の書き方に関しては、大字と呼ばれる、金額記載の時に使用される漢字を用います。大字とは、単純な形が多い漢数字を複雑な漢字に置き換え、数字の書き換えを防ぐために使用する漢字のことです。 十の場合は拾だけではなく、壱拾とします。百や千、万の場合も、壱を省略せずに記入しましょう。

裏側の書き方

香典袋には、中袋(内袋)という封筒が内側についているものがあります。香典袋の裏面の書き方について、香典袋の中袋があるタイプとないタイプに分けて、見ていきます。

中袋ありの場合

中袋ありの場合、香典袋自体の裏側には何も書きませんが、中袋の裏側の左下に住所と氏名を書きます。金額は基本的に中袋の表側に記入しますが、裏側に記載することもあります。 住所は、ご遺族が香典返しを郵送する際に必要になるので、番地やマンション名、部屋番号まで省略せずに、正確に記入しなければいけません。氏名はフルネームで記入し、住所の番地や郵便番号は漢数字を使って書きます。ただし、ゼロは「零」ではなく、「〇」とします。また、電話番号を添える場合は漢数字を使うようにしてください。 中袋の表側には金額を記入しますが、これもご遺族が香典返しする際に参考にするので、正確に記入しなければいけません。また、はっきりした決まりはなく、中袋の裏側に金額を書くこともあります。地域によって決まっているケースもありますので、事前の確認が必要になります。 さらに、中袋は、基本的には縦書きで書きます。ただし、市販されている香典袋の中には、氏名、金額などの欄が横書きで印刷されている場合があり、その場合はそれに従い、横書きで書きます。

中袋なしの場合の書き方

市販されている香典袋には、中袋のない封筒タイプもあります。基本的にこのタイプは、包む金額が少ない時に使われます。ただ、地域によっては、中袋を使うと袋が2重になることから、「不幸が重なる」ことを意味するとして、中袋なしの香典袋を使うケースがあります。 このタイプの香典袋の場合、香典袋自体の裏側に縦書きで住所と金額を書きます。氏名は香典袋の表側の水引の下の真ん中にフルネームで縦に書きます。裏面には、氏名は記入する必要はありません。 金額の書き方は、中袋ありの場合と同様に、旧字体の漢数字を用います。また、横書きの場合はアラビア数字を使います。

表書き

香典袋の表書きの書き方は、中袋なしの場合も中袋ありの場合も同じです。表書きには、筆記用具は毛筆か筆ペンを用いるのがマナーです。また、墨の濃度の使い分けにも注意しなければいけません。

お金の入れ方

まず、お札の選び方ですが、四十九日以降に渡す御仏前には新札を使えます。しかし、それ以前に渡す御霊前などには、新札は使えません。新しいお札は、いつでも手元にあるわけではなく、あらかじめ用意していたとみなされるので、良くありません。ただし、使い古されたボロボロのお札の方が良いという訳でもないので、注意が必要です。 お金を入れる向きにも注意が必要です。まず、複数枚のお札を入れる場合は、全てのお札の向きをきちんと揃えます。そして、肖像画が描かれていない、お札の裏面を、中袋の表に向けて入れます。

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金額の相場は

御仏前でお金を包む場合、相場は様々な要因で変わります。参列する相手先や法事の種類を考慮して、お金を包みましょう。 一例として、一周忌における金額の相場を見ていきます。金額の相場は、故人とあなたとの関係で変化します。例えば、故人が祖父母の場合、相場は1万円から3万円です。これを夫婦で出す場合は、3万円から5万円が相場です。 一周忌に限った場合でも、あなたの立場や年齢によって、金額に違いが出ます。金額に迷った場合は、あなたと同じ関係性の親戚と相談するのがベターです。

連名の場合の相場

連名の場合もまた、金額は故人との関係、連名を組んだ人数によって様々です。一般的には、一周忌の場合、会食に参加しない場合は、5000円程度が相場です。会食に参加する場合は、10000円程度が相場になります。 会社の場合は、社則などで金額が決まっている場合がありますので、確認する必要があります。

お供え物

お菓子などのお供え物には、弔辞用ののし紙をつけて渡しましょう。のし紙には、結び切りという結び方の水引を印刷されたものを選びます。そして、中央下段にフルネームを記載しましょう。 お供え物には、食べ物や飲み物、線香などの消費されるものを選びます。また、日持ちのするものや、故人が好きだったものも喜ばれるので、好ましいと言えます。

「御仏前」と「御霊前」の違い

この項では、御仏前と御霊前の違いについて見ていきます。御仏前と混同されがちな御霊前ですが、どのような意味があるのでしょうか。 また、御玉串料や御花料についても確認します。式典の種類や宗派などによって、表書きの書き方に違いがありますので、細かい点までしっかり理解しておくことが必要です。

「御霊前」とは

まず、「御霊前(ごれいぜん)」とは、亡くなった方を敬い、故人の御霊に捧げ供えることという意味です。仏教では、一般的に死後49日までは死者が六道輪廻(ろくどうりんね)をさまよい、成仏していないので、その期間に捧げる供物の表書きには、「御霊前」を用います。 お供えする供物の包み紙の表書きには、故人が亡くなった49日後から御仏前を、それ以前は御霊前を用います。7回目の追善法要である四十九日で故人の霊は成仏します。成仏する前は霊なので、御霊前、成仏後は仏なので、御仏前が用いられます。 また、法要の都合により、四十九日が繰り上げて行われることがありますが、この場合は御仏前を使います。法要を執り行うことで、死後49日が経っていなくても成仏したと考えるためです。この点は、注意が必要です。 御霊前とは、基本的には宗教に関わらずに使える表書きです。ただし、一部の宗教や宗派では使えませんので、注意が必要です。 具体的には、仏教では浄土真宗、臨済宗、曹洞宗では、教義により御霊前はふさわしくありません。同じ仏教でも宗派によって考え方が異なり、浄土真宗と真宗には霊という考え方がありません。死者は亡くなられたと同時に成仏すると考えられているので、四十九日以前でも、御仏前が用いられます。 また、キリスト教でも、プロテスタント系の福音派では使用できません。 書き方に関しては、御仏前と違いはありません。

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「御香典」を使う時

御香典は、仏教であれば、宗派を問わずに使用できる表書きの書き方です。ただし、御香典は通常、通夜や葬儀に持参する香典に使用します。そのため、法事の場合に使用する表書きの書き方としては、相応しくありません。 宗派ではなく、式典の時期、種類で使い分ける必要があります。

御玉串料

「御玉串料」は、神道の儀式で用いる、表書きの書き方です。「おんたまぐしりょう」と読みます。この御玉串料という言葉は、葬式などの弔事だけでなく、神社での祈祷の際にも使用することがあります。この点を理解しておかないと、誤用や混同の原因になりますので、注意が必要です。 御玉串料を用意する場合も、書き方は他の不祝儀袋と大差ありません。

御花料

御花料は、通常、キリスト教の葬式で用いられる表書きです。「おはなりょう」と読みます。こちらに関しても、表書きの書き方に大きな違いはありません。 ただし、キリスト教の場合は、不祝儀袋の形式自体が仏教と異なります。購入する際は、キリスト教用であることを確認しなければいけません。表書きの書き方にばかりとらわれてしまい、袋の種類や式典の種類などへの注意を忘れないようにしましょう。

お返しのしきたり

この項では、お返しに関するしきたりを確認します。お返しの時期や、品物の選び方、表書きの書き方などについて見ていきます。お返しに関しても、様々なしきたりがあるので注意が必要です。

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お返しの時期

葬儀の参列者には、葬儀後すぐに引き出物を渡して、お返しをします。後日、御仏前が送られた場合は、法要から1か月以内にお返しを郵送します。

品物の選び方

お返しの品物は、洗剤やタオルといった生活用品、食べ物類を選びます。また、カタログギフトで、相手に選んでもらうという方法をとることもできます。 また、お返しの金額の相場は、御仏前として受け取った金額の3分の1から2分の1あたりが相場です。また、特に相場より高い金額の御仏前を受け取った場合は、3分の1でも問題ありません。

表書きの書き方

お返しの表書きには、「志」、「粗供養」、「御礼」といった表書きを記載します。また、水引は双銀・黒白・黄白を選びます。東日本では黒白の5本結び切り、西日本では、黄白の5本結び切りにするのがマナーです。 水引の上に、贈り物の目的を、水引の結びきりの結び目の上に書きます。この際には、水引に文字が重ならないように、注意が必要です。「志」が良く用いられ、仏式に限らず、他の宗教でも用いられます。 また、主に関西地方で、「満中陰志」を表書きに用いることがあります。地域や宗教によっては、その他の言葉を用いることがありますので、その都度、確認が必要です。 さらに、水引の下には、送り主の名前を書きます。喪主の姓を書くのが一般的でしたが、フルネームを書くケースも増えているようです。この、水引の下の記入の仕方は、キリスト教など、仏教以外の宗教でも同じです。

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お礼状

お礼状や挨拶状の差出人名は、喪主のフルネームが一般的ですが、喪主の名前に並べて「遺族一同」という表記も良く見られます。 また、お礼状を書く際は、句読点を使わないようにしましょう。これには、葬儀がつつがなく終わるようにという意味合いがあります。また、本来、句読点は、子供などが読みやすいようにと考案されたものであり、目上の人に使うと失礼であるとされる事があります。

渡し方のしきたり

準備した御仏前を渡すタイミングは、法要が始まる前に施主に手渡しします。この時、通夜や葬儀の受付と同じように、香典袋を袱紗(ふくさ)から取り出し、香典袋の表書きが相手側から読める向きにして、「仏前にお供えください」と一言添えつつ、両手で渡します。

御仏前の書き方を理解しよう

御仏前の書き方について見てきました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。書き方に関するしきたりを理解し、各々の宗教、宗派による違いを知り、正しい作法を実行しましょう。 細かな決まりや背景を理解することは、故人を追悼する気持ちを強くして、遺族に対する気遣いにつながります。また、故人との関係性や自分自身の立場や年齢による違いを知ることも大切です。