会葬御礼品の渡し方のマナーとは？香典返しとの違いも解説

会葬御礼品は、葬儀への参列の感謝を表すためにお渡しする品のことです。具体的には通夜や告別式の日にお渡ししますが、通夜参列のお礼は「通夜御礼品」と呼ぶのが一般的です。会葬御礼品は、会葬礼状を添えて弔問客全員に同じ品をお渡しします。

ここからは会葬御礼品の選び方や金額の相場、渡し方のマナーについてご紹介していきます。混同されがちな「香典返し」とのちがいにも触れますので、よければ葬儀の知識としてご参考ください。

前述のように会葬御礼品は葬儀のときに準備しますが、どんな宗教宗派の葬儀で必要なのでしょうか。基本的に日本で行われる葬儀では、仏教・神道・キリスト教のどの宗教であっても、会葬のお礼としてなんらかの品を準備するのが一般的です。キリスト教にはもともそ会葬御礼品の風習はありませんでしたが、日本の習慣にしたがってそうなったようです。

そうはいっても、会葬御礼品の有無や種類は、地域や宗派によって異なります。分からないときは葬儀社などに相談してみてください。

会葬御礼品は葬儀が終わってから郵送することもありますが、最近は、告別式当日に受付で手渡しをすることが多いです。弔問客が焼香を終えたタイミングが最も一般的です。または、葬儀の前に記帳を終えた段階で受付で手渡しをすることもあります。

会葬御礼品の相場は500円～1000円です。葬儀の規模によっては2000円程度の会葬御礼品を用意する場合もあります。会葬御礼品は葬儀に時間を割いてくださった方へのお礼の気持ちを表すものですのが、あまり高額な品を用意すると、かえって受け取る側の負担になってしまいます。

会葬御礼品をお渡しするときは、お礼状とお清めの塩を添えるのが一般的です。お清めの塩は葬儀場や自宅の玄関で使用するためのものです。古来より日本には、死を「穢れ」と考える習慣がありました。

一方、塩は穢れを払って身を清める力をもったものだと考えられていました。葬儀に参列するということは穢れに触れることになるため、参列者はお清めの塩を体にふりかけて、身についた穢れを払うのです。ただし、お清めの塩の考え方は宗教宗派によって異なりますので、心配な場合は事前に葬儀社などと相談しましょう。

お清めの塩を会葬御礼品に添えるときは、小さな袋に詰めてお渡しします。ちなみに清めの塩を使用するときは、胸・背中・足元の順にひとつまみずつふりかけ、最後に手で払います。最近は足元だけに撒くことが多くなっています。

会葬御礼品は告別式当日に対面で受け渡しを行うのが一般的です。ここでは会葬御礼品を渡す側と受け取る側の振る舞い方・マナーについて、それぞれご紹介します。

会葬御礼品は焼香後にお渡しすることが多いです。渡すときは相手に聞き取れる程度の声の大きさで、一言あいさつを添えましょう。

・お忙しい中ご足労いただき、ありがとうございます。

・ご弔問ありがとうございました。

・このたびはありがとうございました。こちらをお受け取りください。

こういった文言が一般的です。あまりに大きい声や、長々と話し込むのはやめましょう。

受け取るときは「おそれいります」などの一言を返すとよいでしょう。ただし「ありがとうございます」という返事は葬儀の場にふさわしくありませんので、使わないようにしてください。会釈や目礼のほか、無言で受け取ってもかまいません。

不幸事をいつまでも引きずるのはよくないという考えから、会葬御礼品は消えものがよいとされています。定番は日用品や消耗品です。持ち帰りやすいように、軽くてかさばらないものがよいでしょう。ただし地域によってはお米などを渡す習慣があるところもありますので、詳しくは葬儀社などに確認してみてください。

タオルは消えものではありませんが、会葬御礼品として定番の品物です。フェイスタオルやハンドタオルなど、かさばらないサイズがおすすめです。会葬御礼品は弔問客全員に一律にお渡しするものですので、老若男女を問わずに使えるシンプルなデザインのものを選ぶとよいでしょう。

消えものの代表ともいえるのが洗剤類です。食器洗剤・洗濯洗剤のほか、浴用石鹸・ボディソープなども人気があります。タオルと同じく、誰にでも馴染みやすいデザインや香りのものを選ぶのがおすすめです。

ただし、洗剤類やせっけん類はタオルなどと比べると重量があります。大容量のものは避け、小さめのものを選ぶと持ち帰りやすいでしょう。その場合は高級感がある種類やデザインのものを選ぶのがポイントです。

日持ちがしてかさばらず、気軽に消耗できることから、コーヒーや紅茶、緑茶の詰め合わせも会葬御礼品として人気があります。よく知られているメーカーや、高級感のあるブランド・銘柄を選ぶと喜ばれます。ドリップバッグやティーバッグなどの1回使い切りタイプが便利です。

飲料と同じく、お菓子も嗜好品の消えものとして人気の品です。クッキーや焼き菓子といった洋菓子のほか、ようかん・饅頭といった和菓子もよく選ばれています。故人が好きだったお菓子をお配りすることもあります。生菓子などは避け、ある程度日持ちがするものを選びましょう。

日持ちのする食品として、乾物や缶詰などの保存食料もよく用いられています。会葬御礼品として乾物を選ぶときは、海苔が一般的です。おなじ乾物でも、昆布やかつお節は慶事に用いられることが多いので、会葬御礼品には向かないとされています。

缶詰ならば重くないもの、かさばらないものを選ぶのがおすすめです。殺生を思わせる魚・肉類は避け、果物類がよいでしょう。

図書券やクオカードといったプリペイド式のカードも最近は会葬御礼品としてよく選ばれています。持ち帰りやすい・使う人を選ばないといったメリットがあります。ただし、こういった金券類は露骨に金額がわかるため、受け取った側が不愉快に思うこともあります。年配の参列者が多い葬儀などは、金券類は避けるのが無難です。

カタログギフトもとても人気があります。受け取った側が好みのものを自由に選べる点がメリットです。また、弔事では肉や魚などの殺生を思わせる食品はタブーですが、カタログギフトから選ぶ場合は許容されています。カタログギフトも種類豊富にありますので、参列者の年齢層や嗜好傾向を鑑みて選んでみてください。

会葬御礼品には会葬礼状を添えるのが一般的です。会葬御礼品・清めの塩と一緒に、1つずつ紙袋などにまとめて手渡ししましょう。もし会葬御礼品を用意しない場合でも、お礼状だけは用意しておきましょう。

会葬礼状の基本的な構成は以下のとおりです。

・故人の名前

・参列していただいたことへのお礼

・結びの言葉

・日付・住所・差出人（喪主）の名前

頭語と結語は入れても入れなくてもかまいませんが、時候の挨拶は不要です。敬語を用い、故人の名前を記すときは「亡父」「亡妻」など、差出人との続柄を表す言葉を名前の前に置きます。また、会葬礼状では忌み言葉や句読点は用いないのがマナーです。

意外と迷うことが多いのが日付です。会葬礼状の結びに入れる日付は、告別式を行う日・行った日付を記しましょう。通夜と告別式の両日を記す場合は、それぞれ「通夜〇月〇日」「告別式〇月〇日」のように分けます。

故人が亡くなった日付を入れる場合は、「〇月〇日〇時〇分、△△歳をもって天寿を全ういたしました」などのように、文中に記すようにします。

「謹啓

亡父〇〇儀

亡父の葬儀に際しましてはご多忙中のところわざわざご会葬賜り厚くお礼申し上げます

ここに生前のご厚情を深謝し略儀ながら書中をもちましてお礼のご挨拶申し上げます

ここに生前のご厚情を深謝し　略儀ながら書中をもちましてお礼のご挨拶にかえさせていだきます

敬具

令和〇〇年〇月〇日

〒　〇〇〇〇

喪主　〇〇

外　親族一同」

葬儀の参列者は事前に確実な人数を把握することができません。せっかく足を運んでいただいたのに会葬御礼品の数が足りずにお渡しできなかった、などといったトラブルが起きないよう、会葬御礼品は少し多めに準備しておくのがおすすめです。もし万が一、そういった事態になってしまった場合は、後日自宅に郵送しましょう。

逆に、会葬御礼品が余り過ぎてしまうこともあります。葬儀社によっては返品を受け付けているところもあります。予算の関係もありますので、事前に葬儀社とよく相談しておくのがおすすめです。

家族葬は近親者のみで執り行う葬儀です。身内だけの葬儀ではありますが、会葬御礼品は家族葬でも用意します。葬儀では喪主以外は全員参列者と見なされます。たとえ親族しか集まらない葬儀であっても、お礼の気持ちとして会葬御礼品は用意しておきましょう。ただし、故人と同居していた家族のみで行う場合などはこの限りではありません。

葬儀に関することとして、「香典返し」という言葉もよく耳にします。香典返しは、葬儀に際して香典を頂いた方にお返しするお礼の品のことです。いただいた香典の金額の3分の1～半分の品を準備します。

これに対し、会葬御礼品は会葬のお礼として、参列者全員にお渡しします。香典返しはあくまで香典をいただいた方のみにお渡しするものですので、混同しないよう注意してください。

香典返しは四十九日後の忌明けに挨拶状と一緒に郵送することが多かったのですが、最近は告別式当日にお返しする「即返し」が主流になりつつあります。本来は香典額に応じて品を選びますが、即返しの場合はそうもいかないので、3000円～5000円を相場として一律同じ品をを準備します。

即返しをする場合は、受付で香典をお預かりしたタイミングでお渡しします。会葬御礼品とともにお渡ししてもかまいません。

会葬御礼品は、葬儀に参列してくださったお礼の気持ちを、故人に代わってお渡しするものです。受け取る側の負担にならないためにも、さほど堅苦しく考える必要はありません。お礼の気持ちが伝わる品を考えてみてください。